龍谷ミュージアムで開催中の「水木しげる 魂の漫画展」は、すでに来場者が2万人を越えている人気の展示です。生涯現役だった漫画家・水木しげる氏が、魂を込めて描き続けた作品の生原稿や原画のほか、少年期の貴重なスケッチなど未公開作品を含む約300点が展示されています。
今回は実際に展示を鑑賞しての感想や、グッズ・カフェ情報などをご紹介しましょう。
水木ワールド全開の展示
ゲゲゲの鬼太郎は超ロングセラー
言うまでもありませんが、水木しげる氏は半世紀以上の人気を保っている超ロングセラー「ゲゲゲの鬼太郎」の作者です。
「ゲゲゲの鬼太郎」は1954年に紙芝居として発表された後、貸本・少年誌・TVアニメ・映画・ドラマ・ミュージカルなど、さまざまな表現形式を取って展開されてきました。
展示では初出を含む貴重な原画や生原稿を見ることができます。水木氏独特の緻密な背景描写は、原画で見るといっそう「何か」出てきそうな雰囲気を醸しています。
画才あふれる少年期の作品も
展示では少年期からの作品も紹介されていて、10代後半に描かれた作品は、すでに絵がストーリーを物語っているように見えました。
特に30×400cmの大作「昆虫繪巻物」は、ユニークなデフォルメと美しい色彩で虫たちが生き生きと描かれており、ぜひとも鑑賞していただきたい作品です。
戦記物作品はリアルな体験から
水木氏は、太平洋戦争で激戦地・ラバウルに出征し、左腕を失いました。そこで味わった理不尽さと幾度とない死への覚悟、そして現地の人たちとの交流が、漫画「総員玉砕せよ!」や、著作「トペトロとの50年―ラバウル従軍後記」に記されています。
地獄と天国を同じラバウルの地で見た体験は、目に見えない世界や命の煌きを作品に描き出す探求心や洞察力の、強い源になっていたのではと思います。
水木氏直筆の「あの世の絵」も特別展示
水木しげる氏は、鳥取県の境港で幼少期を過ごしました。その頃、のんのんばあ(実家のお手伝いさんだったおばあさん)に連れられて見た「地獄極楽絵図」に魅せられてしまったそうです。
龍谷ミュージアムでは、水木氏の一生を決めた?「地獄極楽絵図」の複製パネルや、仏教世界にまつわる水木氏の直筆原画、「常世国」「阿弥陀の浄土」「八大地獄の光景」「決死の渡海 補陀落浄土」が特別展示されています。
これらの限定品は展示会場のラストで地味に紹介されているため、見落とさないようにご注意ください。
ユニークな妖怪グッズがいっぱい
地下1階のエントランスに設けられたグッズ売り場には、ここでしか手に入らないオリジナルグッズのほか、図録や関連書籍などがたくさん販売されています。
品目は定番のクリアファイルやトートバッグをはじめ、マグカップや文具、Tシャツ、妖怪キャラクターの人形など。巨大な目玉おやじが当たるくじなどもあり、ファンにはたまらない品揃えです。
▼妖怪占いができる飴ちゃん
ミュージアム1階にはカフェも
龍谷ミュージアム1階の堀川通りに面した入口横には、ミュージアムカフェショップがあります。お目当てだった「黒ごまパンと京野菜のホットサンド」は残念ながら品切れだったので、「お野菜たっぷりの和風パスタ」をいただきました。
▼鑑賞後のひと息に
ショップは「京都くろちく」が運営していて、ミュージアムのオリジナルグッズ以外に和雑貨もあります。
なお、2017年度秋季の特別展「地獄絵ワンダーランド」、筆者は見逃してしまったうえ、図録も完売となっていました。ところがなんと、ミュージアムカフェショップにはまだあったのです!欲しかったのに買えなかった方、今ならまだ間に合うかも?
「水木しげる 魂の漫画展」の詳細
- 会場:龍谷大学 龍谷ミュージアム
- 日時:2018/9/22(土)~11/25(日)10:00~17:00 ※最終入館受付は16:30まで
- 住所:京都市下京区堀川通正面下る(西本願寺前)
- アクセス:駐車場がないため公共の交通機関をご利用ください
- JR・近鉄・地下鉄烏丸線「京都駅」から徒歩約12分
- 地下鉄烏丸線「五条駅」から徒歩約10分
- 京都市バス9・28・75系統「西本願寺前」下車、徒歩約2分
- 料金:一般1,200円高校・大学生800円・小中学生400円
10月31日(水)スタートした「水木ナイト」は、11月22日(木)までの毎週水曜日と木曜日に19:00まで開館時間が延長されるというものです。
また、11月19日(月)には臨時開館が決定しており、先着200名に本展の非売品ポスターがプレゼントされます。
ハッタリではなかった「『魂』の漫画展」
漫画ファンでなくても見てほしい展示
2016年に93歳で亡くなった水木しげる氏は、そのユニークな生き方から漫画ファン以外の方からの人気も集めてきました。氏のモットーだった「幸せの七ヵ条」の第五条には、「才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ」とあります。
好きの力を信じ、自分の楽しさを追求しようと呼び掛けてきた水木氏ですが、この第五条で単なる「自分ファースト」主義ではないことがわかります。この覚悟なしの「自分ファースト」は単なる自己チューで、かえって不幸になってしまうのでは?
かといって、水木氏は家族を顧みず好きなことに邁進したわけではなく、このあたりのバランス感覚が「達人」の奥義なのかもしれません。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【達人】です。
その道の達人には誰もがなれるわけではありませんが、自分の人生限定での達人であれば、誰でもなれるチャンスがあります。これがあるべき自分ファーストで、達人になるための総仕上げが終活ではないかと思うのです。
※今日はボタモチ、2個追加!
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