上級救命講習の内容とは?受講に必要な費用や有効期限も紹介

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あなたが心肺停止状態になったとき、救急車が来るまでの間に周りの人がどのような行動をとるかによって、あなたの運命は決まります。もし誰かがあなたに心肺蘇生法を行い、AEDを作動させてくれたなら、再び目を覚ますことができる可能性が高くなるのです。

すべての人に一度は受けてほしい救命講習。今回は、実際に上級救命講習を受けての実感を交えながら、講習の内容や受講に必要な費用、有効期限などを紹介します。

上級救命講習の内容

救命講習には種類がある

筆者が今回受講したのは上級救命講習でしたが、救命講習には以下のような種類があります。

  • 普通救命講習Ⅰ
  • 普通救命講習Ⅱ
  • 普通救命講習Ⅲ
  • 上級救命講習
  • 応急手当普及員講習

普通救命講習Ⅱは医療関係者向けのものなので、一般の人向けはそれ以外のものです。

上級救命講習は8時間のボリューム

普通救命講習Ⅰは成人向け心肺蘇生法などを3時間、普通救命講習Ⅲでは小児・乳児・新生児向けの心肺蘇生法などを3時間で学ぶものです。

上級救命講習では普通救命講習ⅠとⅢに加えて、傷病者の管理法や搬送法のほか、応急手当や三角巾の使い方などを、お昼を挟んで9時から17時まで8時間かけてしっかりと学びました。

上級救命講習の流れ

基本は胸骨圧迫とAED

講習での座学はDVDを見たり講師の解説を聞いたりする程度で、大半は実習です。基本は胸骨圧迫とAEDによる心肺蘇生法を確実に身につけることで、実習用の人形を使って、複数回実習を行います。

▼最新型のJAMY君

最新型の実習用人形には、電光メーターが付いていて、胸骨圧迫の強度とテンポのほか、圧迫の位置や人工呼吸が的確かどうかひと目で分かるようになっています。

筆者の場合は胸骨圧迫の強度が少し弱く、5cmに届いていないときにはさながらレッドカードのように赤ランプが点滅しました。

的確な胸骨圧迫を行うコツは、腕をしっかり伸ばし、胸骨の真上からしっかり体重を掛けるようにして、1分間に100回のテンポで押すことですが、2分も続けると息が上がり汗だくになります。

実際の救命においては119番通報から救急車が到着するまでの約8分間、胸骨圧迫を続ける必要がありますが、ひとりで行うことはかなり難しいものであるため、協力を呼びかけることはとても大切です。

なお、胸骨圧迫を30回行ったあと人工呼吸を2回行うのが正式ですが、場合によっては人工呼吸を省略しても構いません。

乳幼児への心肺蘇生法も実習

上級救命講習では、大人だけでなく乳幼児の人形も用意されていました。乳児への胸骨圧迫は中指と薬指の2本で行いますが、胸がしっかり沈むまで圧迫することが必要です。

人工呼吸では、乳児の鼻と口を自分の口でふさぐようにして行います。心肺蘇生の回数やテンポは、大人と同じです。

▼練習用のAED

AEDは、電源さえ入れれば手順をアナウンスしてくれます。注意事項は、「体に触らないでください」「体から離れてください」とアナウンスされたら、確実に患者から離れることです。

AEDを使用するときも、できるだけ胸骨圧迫の中断時間を短くすることが大切です。なお、AEDの電極パッドは貼ったまま電源を切らずに胸骨圧迫を続けます。

応急手当や搬送法の実習

応急手当では2人でひと組になり、三角巾2枚を使って腕を固定します。搬送法では道具を使わずに1人で行うバージョンと2人で行うバージョンを実習後、毛布を使って搬送する方法も実習しました。

効果測定して修了

実習のあと、効果測定行います。

  • 倒れている人を発見
  • 安全確認
  • 意識の確認
  • 助けを呼ぶ
  • 呼吸の確認
  • 胸骨圧迫と人工呼吸
  • AED
  • 胸骨圧迫と人工呼吸の再開

効果測定では2人ひと組になって、メインで心肺蘇生を行う役目とAEDを探しに行く役目を担当し、講師が119番通報する役目をしつつ、受講者が上記の流れを的確に行えているかどうかをチェックします。

安全確認をする前に倒れている人に駆け寄ってしまったり、AEDの電源を入れ忘れてしまったりするミスが多く、落ち着いて行動するよう自分に言い聞かせながら救命活動を行う必要を実感しました。

その後筆記による効果テストが行われました。20問の問題が出題されましたが誰一人追試に至ることなく、無事修了証が授与されました。修了証のデザインは自治体によって異なるそうで、姫路市の修了証にはかわいい「しろまるひめ」がデザインされているとのことです。

▼これが上級救命講習修了証

上級救命講習の受講に必要なものは?

受講資格は特になし

上級救命講習といっても、事前に普通救命講習を受講しておく必要はなく、特別な受講資格などもありません。筆者が受講した自治体では、中学生以上であれば学歴・実務経験不要で誰でも受講できます。

なお、応急手当普及員は、市内に在住・在勤・在学している義務教育を修了した方限定となっていました。

受講料も無料

自治体によってはいくらかの費用が必要なところもあるようですが、筆者が受講した自治体では受講料・テキスト代とも無料でした。なお、応急手当普及員講習では4,937円程度をテキスト代(税込)として支払います。

受講できる場所は?

筆者が今回受講したのは、兵庫県高砂市の消防署でした。高砂市の場合は、応急手当普及員講習以外なら市外の方でも受講できます。

また再受講は他の自治体で受験してもOKということで、むしろいろいろな自治体の講習を受け比べてみることを推奨されていました。ただし自治体によっては市町村民のみが対象というところもあるようなので、申し込み時にご確認ください。

持ち物・服装も普通でOK

特別な持ち物や服装も不要で、動きやすい衣服と靴を着用して筆記用具を持参すればOKです。結構ハードに動くので、汗拭きや飲水を用意したほうがよいでしょう。

筆者の場合は近隣にコンビニや飲食店がありましたが、講習会場によっては昼食を持参する必要があるかもしれません。

上級救命講習の有効期限は?

上級救命講習の有効期限は、自治体によって異なるようです。

東京都では3年が有効期限で、期限内なら再講習を受けることで認定証を継続できます。有効期限を過ぎてしまった場合には新規講習を受ければよいのですが、講習に必要な時間や費用の負担は再講習のほうがかなり軽くなっています。

筆者が受講した自治体では有効期限を設けていませんが、救命技能の維持・向上のため2年毎の反復受講を推奨しています。

また、日本蘇生協議会(JRC)が作成しているJRC蘇生ガイドラインは5年毎に更新されるため、資格の維持に関係なく定期的に再受講することが望ましいでしょう。

みんなに知ってほしい心肺蘇生法

まずは119番通報を

筆者が講習を受けたのは消防署でしたが、受講中に何度も救急車が出動していました。以前に筆者が119番通報したとき、通報後5~6分程度で救急車が到着してその早さに驚いたことを覚えています。

けれども通報しなければ、救急車は来てくれません。実際に人が倒れているところに遭遇したときには焦ってしまい、119番通報することを忘れてしまいがちになるということなので、心しておきたいと思います。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【協力】です。

人が倒れた場面に立ち会わなくても、救命活動に協力する方法があります。それは、運転中に救急車の接近に気づいたら速やかに道を空けることです。ほんの数十秒のことで誰かの命が助かるのだから、やらない理由はありません。

※今日はボタモチ、2個追加!

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