大阪市立美術館で開催中のルーヴル美術館展は、肖像を切り口にルーヴル全8部門から、古代エジプトから19世紀ヨーロッパまで約110点もの傑作が展示されています。
肖像絵画や彫刻は、作品に依頼人や芸術家の思惑のほか社会的要因などが反映されていて、とても興味深い分野です。今回は、ルーヴル美術館展の混雑状況のほか面白情報や感想、アクセスなどを紹介します。
ルーヴル美術館展の混雑状況
筆者が大阪市立美術館を訪れたのは、連休明けの平日10時過ぎでした。平日朝イチの割にそこそこの人出でしたが混雑というほどではなく、お気に入りの作品の前でじっくり鑑賞したり、館内を自由に回遊したりできました。
展示替えなしで年明けまで開催されるので、皆さん余裕で様子をみているのかもしれません。今のうちならゆっくり鑑賞できそうですよ。
ルーヴル美術館展の面白企画
大阪市立美術館のエントランスに、自分の顔とルーヴルの肖像作品の合成写真を作って撮影できるというコーナーがありました。
▼この4つから好きなものを選べる
メッサーシュミットはかなり不気味な顔色になりそうだったので却下、ナポレオンとスカヴロンスキー伯爵夫人にしました。
▼微妙に自分顔っぽく変化
これがなかなか面白く、どなたも楽しく遊んでおられました。大阪市立美術館に行かれたら、作品の鑑賞と合わせてぜひお試しください。
ルーヴル美術館展の展示内容と感想
肖像の起源
肖像は美術のテーマとしては最古といえるもので、起源は死者の弔いのために作られたそうです。去っていった人のよすがとして、あるいは来世の幸福を祈念して、はたまた信仰の証しとして、肖像は大切な役割を果たしていました。
時代がくだり、肖像は権力や権威を表すための役割を経て、芸術家が自己と向き合う手段にもなりました。
肖像は粉飾されている?
人体のなかで個人を識別できる部位は、やはり顔です。しかし、その顔が肖像芸術になったときにはさまざまなオマケが付随して、元々の顔とは別のモノに変化します。
さらにその時代や社会のお約束といえる「コード」のようなもので粉飾されたり、依頼人の願望などが加味されたりすることで、結果的には実像と乖離してしまったり、逆に実像以上に実像を表したりすることもあるのです。
ナポレオンの肖像は必見
「余の辞書に不可能の文字はない」を信条に、フランス皇帝としてヨーロッパ大陸の大半を支配下においたナポレオンを表現した「アルコレ橋のボナパルト」「戴冠式の正装のナポレオン1世(肖像・彫刻)」「ナボレオン1世のデスマスク」は必見です。
「直取り」のデスマスクを作品と言っていいのかとの疑問が残りますが、真っ白に燃え尽きたジョーを彷彿とさせる安らかな表情のデスマスクには、手を掛けた他の作品を圧倒するものがありました。
華麗な女性の肖像もぜひ
女性の肖像も負けてはいません。27年ぶりに来日したルーヴルが誇る肖像画の至宝「美しきナーニ」や、愛らしい表情でこちらを見つめる「エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」は、今回の展示の見どころです。
筆者個人としては、「アングレーム公妃マリー=テレーズ=シャルロット・ド・フランス」が一番印象的でした。モデルはマリー・アントワネットの長女でフランス最後の王女、作者は「アルコレ橋のボナパルト」と同じアントワーヌ=ジャン・グロです。
白いサテンのゴージャズなドレスに身を包んだこの肖像は、王政復古のシンボルとして描かれたのだとか。時代に翻弄されながら強く生き抜いた彼女の芯の強さが、絵の中の表情からもうかがえます。
ルーヴル美術館展のグッズ
展覧会では、ミュージアムショップで販売されるグッズも楽しみのひとつです。図録をはじめ、トートバッグやポストカード、クリアファイル、iPhoneケースなどの定番に加え、ルーヴル美術館展ではお菓子が充実していました。
鎌倉紅谷「ルーヴルッ子」は、自家製キャラメルにクルミをぎっしり詰め込んでバター生地でサンした「クルミっ子」のルーブル美術館展限定バージョン。数量限定販売でおひとり様3個までしか購入できません。
その他、パリの夕暮れを表したとらやの羊羹「エッフェル塔の夕暮れ」や、一心堂本舗のルーヴル美術館展限定「東京こはく」、Cubetas (キュビタス)のチョコレートなどなど、おいしそうなおみやげがいっぱいでした。
ルーヴル美術館展の詳細
ルーヴル美術館展 肖像芸術 一 人は人をどう表現してきたか
- 会期:平成30年9月22日(土)~平成31年1月14日(月・祝)
- 休館日:月曜日、12月28日~1月1日 ※祝休日の場合は翌火曜日に休館・12月25日は開館
- 開館時間:午前9時30分〜午後5時 ※入館は午後4時30分まで
- 観覧料:一般 1,600円・高大生1,200円
大阪市立美術館へのアクセス
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
アクセス:以下の各最寄り駅から北西へ約400m
- JR「天王寺駅」
- 近鉄「大阪阿部野橋駅」
- Osaka Metro御堂筋線・谷町線「天王寺駅」
大阪市立美術館のルーヴル美術館展は見どころいっぱい
肖像はモデルと作者の共同作品かも
人を識別するときに見るのはやはり顔で、感情や体調なども顔に表れます。また、作品には作者のモデルへの思いが反映されます。
大阪市立美術館のルーヴル美術館展に展示されている作品の作者たちは、モデルに対してどのような感情を抱いていたのか、モデルの顔をどのように見せたかったのか…。
そんなことを考えながら鑑賞するのもおすすめです。ゆっくり鑑賞したいなら、今のうちがおすすめですよ。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【自作自演】です。
スマホで簡単に自撮りできるようになりましたが、撮影者とモデルが同一人物ということはいわば自画像のようなもの。自撮り写真は自分をどのように見せたいのかがわかってしまうという、結構怖いものなのかもしれません。
※今日はボタモチ、1個追加!
コメント