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細見美術館「江戸のなぞなぞ 判じ絵」で楽しむ江戸庶民のユーモア

投稿日:2018年7月22日 更新日:

京都・岡崎にある細見美術館で「江戸のなぞなぞ 判じ絵」展が開催中です。江戸庶民の知恵と遊び心がいっぱいの判じ絵が約100点も展示されていて、ちょっとした謎解き気分を味わえる楽しい企画となっています。

今回は、判じ絵から江戸庶民の暮らしぶりを探りながら、展示の内容などをご紹介しましょう。

判じ絵ってどんなもの?

細見美術館で開催中の「江戸のなぞなぞ 判じ絵」。判じ絵って何?という疑問にお答えするため、そもそも判じ絵とはどのようなものなのかということについて、お話ししましょう。

判じ絵は「絵のダジャレ」

判じ絵は、絵に隠された言葉を判じる(推理する)遊びのために描かれたものです。

小学生向け雑誌の付録などで、絵が混じった怪文書を読み解くといったクイズがありますね。これの難しいものが判じ絵です。いわば絵のダジャレ、あるいはオヤジギャクと思っていただければOKでしょう。

判じ絵はとてもシュール

判じ絵に描かれている絵は「音」だけを表すもので、意味は全く無関係なものです。

たとえば、擬人化された「本」と「鵜」が「碁」を打っている絵が「本郷(地名)」だったり、平べったい大王の絵が「おおひら(平らなお椀)」だったり。

現実離れした不思議でシュールな絵を眺めているだけでも楽しいものですが、絵と答えがどう見ても結びつかずかけ離れているほど「やられた感」があって、面白さは倍増します。

判じ絵から分かる江戸期庶民の暮らし

判じ絵のテーマには様々なものが取り上げられていますが、当時の庶民が日常使っていた道具類が出題されているものは、人々の暮らしぶりを示す貴重な資料となっています。

動植物や野菜・水ぐわし(果物)などがテーマとなっているものは、現代のものとさほど変わらず比較的解きやすく感じられました。意外だったのはイチゴが出題されていることで、江戸末期にはすでにイチゴはよく知られたものだったことが伺えます。ちなみにイチゴは、「い」の字が書かれた紙をもつ稚児でした。

その他、名所の地名も取り上げられています。関西人の筆者には関東方面の地名はよく分かりませんでしたが、畿内から山陽道については馴染みのある地名がたくさんありました。たとえば「矢」と「的」で大和、「香車」の駒10個で京都、針が刺さった天狗面(魔)で播磨といった具合です。

判じ絵は意匠としても秀逸

判じ絵は「謎染(なぞぞめ)」の意匠(デザイン)にも取り入れられています。今も手ぬぐいや浴衣の柄として人気がある「わまわぬ」は、七代目市川團十郎が愛用した鎌+輪+「ぬ」の字が並ぶ縞模様。

同様に三代目尾上菊五郎が愛用した「よきこときく」はヨキ(斧の別名)+琴柱+菊の絵が並ぶ縞模様です。尾上菊五郎は5本+4本の格子に「キ」と「呂」の字を配した「菊五郎格子」を考案したとも言われています。

▼「かまわぬ」は今も人気の柄

判じ絵に必要な教養と語彙力

判じ絵には歌舞伎や浄瑠璃などの素養や、歴史上の人物・事件についての知識がなければ解けない問題が結構あります。また「ボキャ貧」だと、いくら絵を眺めていても答えにたどりつけません。

とはいえ、判じ絵は決して高尚なものではなく、江戸時代の庶民が娯楽として気軽に楽しんだものです。つまり、判じ絵は「みんなが普通に知っている」ものや言葉で構成されていたということで、当時の人々の豊かな教養と語彙力が感じられました。

お上の締め付けにも賢く対抗

江戸期の寛政・天保の改革で行われた綱紀粛正によって、浮世絵に検閲が施されるようになると、役者絵や美人画に規制が加えられ、あげくは禁止されるに至りました。これでは版元も絵師も商売あがったりです。そこで目をつけたのが、判じ絵。

判じ絵はすでに何度かの流行を繰り返し、庶民の間に広まっていました。けれども、役者絵や美人がなどの「描くネタ」を押さえられてしまったことから、モノを題材とした判じ絵が数多く作られるようになったのです。

細見美術館「江戸のなぞなぞ 判じ絵」の詳細

  • 会期:2018年6月9日(土)~ 8月19日(日)
  • 開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
  • 休館日:月曜日 (祝日の場合は翌火曜日)
  • 入館料:一般1,300円・学生1,000円

※障がい者の方は、障がい者手帳の提示で100円割引

細見美術館の詳細やアクセス

細見美術館は若冲コレクションで有名

京都・岡崎に平成10年(1998)に開館して今年で20年になる細見美術館は、伊藤若冲のコレクションで有名な私設美術館です。常設展示は行わず、年に数回の企画展を開催しています。

今年はあと2回の展覧会が予定されていますが、この冬、館内メンテナンスのため休館するそうです。

併設のランチもできるカフェが人気

細見美術館にはランチもできるカフェ「カフェ・キューブ」が併設されていて、ランチにはパスタやピッツァもいただけます。営業時間は10:30 ~18:00(L.O. 17:30)・ランチタイム:11:30 ~14:30

▼鑑賞のあとは、ケーキセットで一息

おみやげは「アートキューブ・ショップ」で

細見美術館のミュージアムショップ「アートキューブ・ショップ」には、展示に合わせたグッズや書籍のほか、若冲関連のオリジナルグッズ、気の利いた雑貨などが販売されています。観覧の記念やおみやげにどうぞ。営業時間は美術館に準じます。

▼外観もおしゃれなアートキューブ・ショップ

観覧料のおトクな割引

アート好きにおすすめの「ミュージアムぐるっとパス」には細見美術館も掲載されていて、観覧料100円分の割引券がついています。

▼アード好き必携の「ミュージアムぐるっとパス」

展示案内のwebサイトからも優待券を入手でき、印刷またが画面の提示で100円の割引を受けられます。

なお、年に3回以上細見美術館へ行く方なら、会費3,000円で1年間有効の「フレンドシップメンバー」がおすすめです。

当日入会OK、有効期間内なら何度でも入館できるフリーパスシステムで、美術館情報の案内や会員限定イベントへの参加などの特典も用意されています。

細見美術館の詳細とアクセス

  • 住所:京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
  • TEL:075-752-5555
  • 時間: 10:00~18:00
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日・展示替期間・年末年始
  • アクセス:
    • 地下鉄東西線「東山駅」2番出口より徒歩約7分
    • 京都市バス:31・32・201・202・203・206系統「東山二条・岡崎公園口」下車 東へ徒歩約3分
    • 京都市バス: 32・46・100洛バス系統「岡崎公園ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車 西へ徒歩約7分

江戸のなぞなぞ「判じ絵」で脳トレ!

江戸庶民のユーモアとセンスに脱帽

江戸時代、日本人は他国と比べて識字率が高く教養もあったそうです。日本が開国後、早い段階で列強に伍する独立国家になったのは、英傑たちだけが立派だったわけではなく、広く一般庶民の民度が高かったことによると思います。

判じ絵から伺えるユーモアとセンスからは、江戸期庶民の高い教養が示されているようでした。実用的な知識はもちろん大切ですが、教養があってこそ知識を活かせるのではないでしょうか。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【遊び心】です。

列強が日本を植民地にしなかったのは、遊び心を大切にする精神のゆとりに、一筋縄ではいかないものを感じたからではないかと思うのです。これぞまさしく東洋の神秘?

※今日はボタモチ、1個追加!

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若杉ひふみ
兵庫県生まれの兵庫県育ち
アラ50のO型
現在、昼間は介護予防事業、アフター5はエイジレスライフ実現への考察と実験に勤しむ日々です。
介護予防につながるエイジレスライフの奥義は、好奇心を失わないこと。その実践として「興味本位」な毎日を過ごしています。おいしそうなボタモチはとにかく食べてみよう!ということで、新たな世界との出会いに加え、足腰が強くなるというおまけも付いてきました。
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