羽生善治棋聖が史上初の永世七冠を達成しました!若手が台頭し、王位と王座を立て続けに奪われ13年ぶりの一冠に後退した中での永世七冠達成は、中高年に大きな希望を与えてくれたのではないでしょうか?
今回は、永世七冠がどんなに凄いことなのかと、それを成し遂げた羽生さんの強さの秘密についてです。
永世七冠はこんなに凄い
羽生義治棋聖が永世七冠という前人未到の快挙を達成しました。今まで誰も到達できなかった境地である永世七冠とは、どんな世界なのでしょうか?
そもそも七冠って?
将棋の世界には段位とは別に『称号』というものがあり、タイトル戦で優勝した棋士は、称号としてそのタイトル名で呼ばれるのです。
現在、称号は『竜王』『名人』『王位』『王座』『棋王』『王将』『棋聖』『叡王』の8つがあり、叡王以外には「永世称号」が制定されています。
永世称号を獲得する為の条件は、それぞれのタイトルで異なり、
- 永世竜王:連続5期または通算7期
- 永世名人:通算5期
- 永世王位:連続5期または通算10期
- 名誉王座:連続5期または通算10期※
- 永世棋王:連続5期
- 永世王将:通算10期
- 永世棋聖:通算5期
※王座のみ永世ではなく名誉と呼びます。
これらのどの称号も、並大抵のことでは手にすることができません。特に王位・棋王関しては5期連続でタイトルを保持し続けなければならず、永世七冠がこれまで誰も成し得なかったのは当然のことでしょう。
永世竜王はなんと9年越し!
今回、羽生さんは通算7期目の竜王を獲得して永世竜王となりましたが、永世竜王の座はこれまで渡辺竜王に二度にわたって阻まれていて、9年越しの宿願を果たしたことになります。
また、通算タイトル獲得数は99に達し、自身の持つ史上最多記録を塗り替えました。さらに、47歳2ヶ月でのタイトル獲得は、史上4番目の年長記録です。
羽生さんの強さの秘密は?
史上3人目の中学生棋士としてデビュー後、25歳で前人未到の7冠を制覇。40代以降もタイトルが途切れることなく、棋界の第一人者であり続けるその強さの秘密はどこにあるのでしょうか?
永世七冠達成直後のインタビューや、9年前の竜王戦で渡辺さんに3連勝して王手を掛けながら4連敗(これも史上初)した後に著された、羽生さんの著書『大局観』などから探ってみます。
年齢は衰えではなく変化
将棋は若手が優位といわれており、10代のヤング(というかジュニア)がどんどん突き上げてくる世界です。例えるなら黎明期のIT業界のようなものでしょうか。
羽生さんといえども加齢現象から逃れることはできないようですが、40代からは記憶力ではなく他の力でいかに補うかを考えて、必要のないものにこだわらずさっさと見切っておられます。
将棋を読む力に関しても、マクロからミクロへ進んでいくという、若いときとは逆の流れに変化しているそうです。
洞察力による決断
数多の局面を記憶し、超高速計算によって検証するのが将棋ならコンピューターの方が強いはずですが、そうは思いたくないのが人情。
しかし、羽生さんは将棋ソフトが出現して間もない頃に、『人間は負ける』と言っていたそうです。
また、将棋はテクノロジーの世界であるとも言っておられますが、羽生さんのミスが少ない将棋と、プログラムのバグとりとは違うものと考えておられるようです。
計算結果ではなく、洞察による決断で手を決めるということでしょう。
混沌を生み出す「羽生マジック」
羽生さんの将棋の代名詞といえる「羽生マジック」。仕掛けられた方は、何がなんだかわからないうちに撹乱されて自滅しているように見えます。
渦中にある対局者だけでなく、解説者にもその「タネ」がいつどこで仕掛けられたかはわからないそうです。
しかし羽生さん自身は、「自分が最善手だと考える手を指しているだけ」と語っており、天才の天才たる所以はこの辺りにあるのかもしれません。
地味な努力を厭わない
天才は何もしなくても優れているというわけではなく、羽生さんは、地味な努力を続けることの大切さを強調されています。
書籍『大局観』の中では、集中力と頭脳の強化に詰め将棋をコツコツ解くことが勧められているので、挑戦されてはいかがでしょうか?
新しい自分を楽しむ
天才と称される羽生さんですが、変化の激しい将棋の世界にあって、その変化を楽しんでいる風に見受けられます。
どんな世界でも、偉くなると守りに入りがちになるものですが、羽生さんは未知の世界へ積極的に飛び込むことで自分自身の可能性を広げてゆこうとしているそうです。
リスクを取らないことをリスクと考えてのことか、強靭なメンタルによるものなのか、性格的なこだわりのなさからのことか…おそらくそれら全てによるものだと思います。
羽生さんはとても謙虚
前人未到の快挙を成し遂げた後のインタビューで、羽生さんは「将棋の本質がまだ分かっていない」と語っています。
出来上がっていない人は慢心しないそうなので、羽生さんの目指す先はまだ遠い…。
というか、闘っている相手は自分自身ということなので永遠に出来上がることはなく、これからも鮮やかな進化を見せてくれるに違いありません。
おわりに
羽生さんは生涯現役モデル
羽生さんが40歳のときに著した『大局観』からは、60歳・70歳になっても一線で活躍し続けるための方策をすでに考えていることが伺えます。
若さが失われたあとどうするのかについて、シビアでありながらも明るい材料が提示されていて、大変ためになる書籍です。
この中で、経験を重ねることの強みが述べられています。しかし、将棋に限らず長くやっている人はいくらでもいますが、羽生さんのような人はそんなにいません。
ということは、経験そのものが違うのか、経験から何かを抽出する力が違うのか…。とにかく長寿社会を生き抜くヒントは、羽生さんから大いに学べると思います。
☆将棋を知らない人にも読んでほしい
今日のボタモチ
今日のボタモチは【嗅覚】です。
嗅覚が優れていれば、目に見えない物を察知することができます。嗅覚は認知機能のバロメータでもあり、とりあえずこれは食べられるのかどうかを一瞬で判断するには、嗅いでみるに限るのです。
今日はボタモチ、1個追加!
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