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京都で聞香体験ができる山田松香木店。気分はもう都びと?

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京都

日ごろ身近に接する機会があまりなく、少々敷居が高いようにも感じられる聞香。それが京都の山田松(やまだまつ)香木店で気軽に体験できるのです。

今回は5つの香りを聞き分ける(匂いをかぐことを聞くといいます)源氏香に挑戦した筆者が、雅な聞香体験をレポートします。

京都で聞香を体験したいなら

山田松香木店で聞香体験

お店に一歩入ると得も言われぬ香りに思わず深呼吸してしまう…京都御所の側近くにある山田松香木店は、江戸・寛政年間の創業から香木や薫香製品を扱っている老舗です。

平安朝の頃より連綿と続く「日本の香り文化」を受け継いでいる山田松香木店では、香木の香りを聞く「聞香コース」や、オリジナルの匂袋や薫物を作る「調香コース」などの体験が可能です。

聞香で香道の世界にふれる

山田松香木店で体験できる聞香には、「三種香」と「源氏香」のふたつのコースがあります。どちらも香りを聞き分けて当てる「組香」というもので、伽羅や沈香などの貴重な香木の香りにふれられるのです。

聞香に先立ち、担当の方が作法や香木についてわかりやすく説明してくれるので、全くの初心者でも気軽に参加できます。

なお、正座ではなく椅子に座ってできるのでご心配なく。

源氏香とはどんなもの?

筆者が体験した源氏香は香りを聞き当てる組香のひとつで、5つの香木をそれぞれ5つずつに分包してから交ぜ、そこから5包みを取り出したものを順番に聞いてゆくものです。

組み合わせは全部で52種類あって、それらが源氏物語全54帖のうち、桐壺と夢の浮橋の2帖を除く52帖の巻名に当てはめられています。

順番に聞いた香りを5本の線で表した図を「源氏香の図」といい、それぞれが52帖の巻名に対応しているのです。源氏香の図はデザイン性が高く、着物や帯のほか什器などの意匠としても用いられています。

画像は3年前、源氏香の図の美しさに一目惚れして、お香を持っていなかったのに即買いしてしまったお香立て。筆者が日本の香りと出会うきっかけとなったものです。

源氏香の図柄のお香立て

聞香の作法は難しい?

聞香はどんな手順でするの?

聞香では香木に直接火をつけるのではなく、香炉に盛った灰に埋められた炭の熱で間接的に温めて香らせます。

美しく山高に盛られた灰の真ん中に薄い雲母の板(銀葉)を置き、その上に香木の小片を乗せてしばらくすると、ほのかに香りがたってくるのです。

ここまでの作法は担当の方がされますが、その所作や道具を見ているだけでも「非日常」を満喫できます。

その後、順番に香炉が回ってきます。香炉を右手で覆うようにして、1つの香りを3回ずつ聞いてから次席の方に回してゆくのです。詳しい香の聞き方や記紙(きがみ・答えを書きこむ用紙)の書き方は、配布資料に記載されています。

次々と回される香炉のいい香り…でも、4番目の香りが回ってきた頃には最初に聞いた香りの記憶は薄れ「あれ?違うような同じような…」と、だんだんわからなくなってしまいました。

香木に国産品はない?

聞香をはじめ、日本の香道で用いられる香木は全て輸入品だそうで、国内では生産できないものなのです。主に東南アジアで生産されていますが、たくさん採れるものではありません。

特にベトナム産の「伽羅」はワシントン条約の2種に指定され、許可を得なければ輸出入ができないほどの希少品だといわれています。

香木は主に「白檀」「沈香」「伽羅」の3つで、正倉院に納められている香木・蘭奢待(らんじゃたい)は沈香の一種だそうです。

香道は室町時代に誕生

源氏物語の「匂宮」や「薫の君」のイメージから、香道は平安時代のものと思い込んでいた筆者でしたが、それは間違い。

平安時代には部屋や着物に香をたきしめたり、自作の香りの優劣を競ったりして香りを楽しんでいました。しかし、香木の香りそのものを鑑賞する香道の祖は、室町幕府の八代将軍足利義政なのだそうです。

聞香で味わうリラクゼーション

今回の聞香・源氏香に参加したのは女性5名でしたが、全員異なる答えを書き正解者はひとりもいませんでした。

筆者は2と4、3と5が同じ香りの「初音」だと思ったのですが、正解は1と5、2と4が同じ香りの「真木柱」だったので、部分点として2点をゲット。

普段、これほど香りに集中することはなく、香木の鎮静効果も相まってか精神が研ぎ澄まされたような清々しさが感じられました。

画像は、自宅で簡単に香りを楽しめるように購入した猫の匂い袋です。

山田松香木店での各種体験は電話で予約でき、源氏香の場合なら所要時間が1時間でおひとり1,800円となっています。詳しくは山田松香木店ホームページまで。

京都で聞香体験…まとめ

聞香で認知症を予防できる?

研究で、認知症の発症に先駆けて嗅覚の衰えが観察されています。また、嗅覚は記憶と同様に扁桃体と海馬で処理されるのだそうです。

これらを受けて、認知症予防や記憶力増進にアロマテラピーが活用されていますが、今回体験した聞香も楽しみながら嗅覚を鍛えられるうえ、香木の鎮静効果や免疫力向上効果も得られるのではないでしょうか。

健康寿命を伸ばしながら風雅な趣味としても楽しめる「日本の香り文化」を、暮らしに取り入れてみたいと思います。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【格差】です。

人間が視覚から得ている情報量は全体の87%ですが、嗅覚からはたったの2%。この格差をリバランスするためにも、もっと意識して香りに接したいと思うのです。

※今日はボタモチ、1個追加!

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若杉ひふみ
兵庫県生まれの兵庫県育ち
アラ50のO型
現在、昼間は介護予防事業、アフター5はエイジレスライフ実現への考察と実験に勤しむ日々です。
介護予防につながるエイジレスライフの奥義は、好奇心を失わないこと。その実践として「興味本位」な毎日を過ごしています。おいしそうなボタモチはとにかく食べてみよう!ということで、新たな世界との出会いに加え、足腰が強くなるというおまけも付いてきました。
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