塩分の取りすぎが健康に良くないことは、よく知られています。しかし、いきずぎた減塩は熱中症だけでなく、さまざまな症状を引き起こす原因となるのです。
今回は、特に夏場に気をつけたい、塩分不足についてです。
塩分不足でこんな症状が!
塩分がカラダの中でたくさんの重要な働きをしています。塩分は体内でナトリウムイオンに分解されて、カラダのさまざまなところで活躍しているのです。
塩分は代謝に必要
体液のペーハーは弱アルカリ性が理想ですが、代謝にともなって酸性物質ができやすのです。
そこで、アルカリ性のナトリウムが、酸性物質を中和して、体液を弱アルカリ性に戻すのです。
消化液が不足する
ナトリウムは胃や腸内の消化液にふくまれる成分です。ナトリウムが不足すると消化液も不足し、消化不良の原因となります。
筋肉がうまく動かなくなる
カラダのなかでは、ナトリウムとカリウムによる電気反応が起きています。
この刺激で筋肉が弛緩・収縮することで、心臓をはじめとする臓器や、カラダを動かすことができるのです。
カラダが冷える
東北地方では、昔から塩辛いものを多く食べる習慣がありますが、塩分を多く摂ることで、厳しく長い冬を越してきたのです。
暖房がほとんどなかった時代に、カラダを温める塩分を多く摂るのは理にかなったことでした。
熱中症の原因は減塩のしすぎ?
暑くなって汗をたくさんかいたら、水分補給を行いますが、水をたくさん飲むと血液内の塩分濃度が下がってしまいます。
カラダには、体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるため、薄くなりすぎた血液から水分を排泄して塩分濃度を上げます。
そのため、せっかく補給した水分なのに、カラダにとどまることなく排泄されてしまうのです。
水分といっしょにナトリウムを補給すれば、血液の塩分濃度が一定に保たれるため、水分はカラダにとどまるのです。
めまいや食欲減退も減塩が原因かも?
減塩のしすぎで脳が酸素不足に
塩分が不足すると、カラダは体内の塩分濃度を保つため水分を排泄して調節します。
同時に血液量も少なくなるため、貧血状態になり、脳への酸素供給が減少して頭痛やめまいが起きるのです。
減塩のしすぎで食欲減退
塩分摂取が不足すると、消化液も少なくなって食欲がなくなります。
夏場によくみられる食欲減退やだるさの原因のひとつは、塩分不足です。汗で失われた塩分はこまめに補給したいものです。
減塩のしすぎでけいれんに
特にスポーツ中など汗を大量にかいたときに、筋肉を動かすために必要なナトリウムが不足すると、意識外で筋肉が収縮してけいれんが起こります。
減塩のしすぎで不健康になる
日本人の塩の適量は欧米人と同じ?
日本人は平均で1日12gの食塩を摂っているそうです。アメリカ人の平均である10gに比べて、日本人は塩分を摂り過ぎているといわれ、国をあげて減塩を勧めています。
しかし、何でも欧米並みにしようとするのはよくない傾向です。
欧米人は肉をたくさん食べ、日本人は野菜や大豆を多く食べます。肉にはナトリウムが多く含まれているので、欧米人では、食塩として塩分を摂る量は少なくてよいのです。
しかし、日本人の場合は違います。植物性の食品にはカリウムが多く含まれていて、ナトリウムは排泄されてしまいます。
そこで、食塩として塩分を補給しなくてはいけないのです。食生活を無視して食塩の摂取量だけ足並みを揃えようとするのは、合理的ではありません。
減塩のしすぎはかえって不健康
最近、大人だけでなく子どもにも低体温の傾向がみられます。この傾向は、生活様式の変化や運動不足に加え、ゆきすぎた減塩が原因ではないかといわれています。
体温が1度下がると免疫力は30%下がり、健康によくないということが知られて来ました。
そのため、健康のため『温活』に励む方が増えていますが、適度な塩分摂取によりカラダを温めることができるのです。
塩分が不足すると困ったことになる
減塩が叫ばれ、塩は目の敵にされている昨今ですが、世界有数の塩分多量摂取国である日本が、世界で最も長命なのは不思議なことです。
栄養学に限らず、むやみに欧米基準に追随するのは、どうかと思います。いいとこ取りして日本色に染め替えるという古からの日本の智慧を、復活させてほしいものです。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【叛旗】です。
日本には日本のよさがあります。律儀なグローバリズムにはムリがあるのではないでしょうか?
※今日はボタモチ1個追加!
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