1月7日の国立文楽劇場開場三十五周年記念・初春文楽公演に行ってきました。お正月ならではの華やぎに加え、六代目竹本錣太夫襲名披露もあってスペシャル感が一杯。さらに第1部の演目はおめでた尽くしで、こいつは春から縁起がいいねえ。
ということで、今回は文楽初春公演の鑑賞レポートです。
文楽初春公演とは?
お正月ならではのしつらえにほっこり
最近は後片付けが面倒なためか、お正月飾りをしないご家庭が増えています。
けれども文楽劇場には、門松をはじめ餅花やしめ縄・鏡餅など、お正月気分を盛り上げてくれるしつらえがふんだんに施されていました。
立派なにらみ鯛にびっくり
毎年初日の3日に黒門市場と南水産から届けれられるにらみ鯛も飾られていました。
当日以降はレプリカなので、本物を見たい方は初日にどうぞ。あわせて初日には鏡開きと樽酒の振る舞いもあります。
くつろげるお茶席も
初春公演ではお茶席も設けられており、500円でお薄とお菓子をいただくことができます。
茶碗は文楽人形が描かれたもので、同席した方と「誂えたんやろか」「誰かが作ってくれたんかも」と会話のきっかけとなり、楽しいひと時を過ごせました。
手ぬぐいまきの手ぬぐいは干支のオリジナルデザイン
文楽の演目には悲劇的な心中ものが多いのですが、初春公演第1部の演目はいずれもお正月らしくハッピーエンドなものが選ばれていました。
手ぬぐいまきは7日までで幕間に行われましたが、中央前側より端側の席や後ろ側の席に飛んで行ったようです。
残念ながら手ぬぐいはゲットできませんでしたが、同じデザインの色違いが期間限定で販売されているので購入。売店には、フェリシモ猫部とのコラボ商品もありました。
文楽初春公演2020第1部の演目は?
七福神が歌い踊るおめでたい「七福神宝の入舩」
「七福神宝の入舩(しちふくじんたからのいりふね)」は、宝船に乗った七福神がおのおの芸を披露しながら宴会を繰り広げるという、おめでたい演目です。
頭が伸び縮みする福禄寿さまと、エビスビールを飲みながら鯛を釣り上げる恵比寿さまが特にユニークで、客席は大いに沸きました。
六代目竹本錣太夫の襲名披露も
竹本津駒太夫(つこまだゆう)改め六代目竹本錣太夫(しろこだゆう)襲名披露もありました。
口上はご本人ではなく豊竹呂太夫さんが行い、六代目竹本錣太夫さんの生真面目なお人柄がユーモラスに語られました。ご本人は無言でお辞儀をしたままでしたが、文楽の襲名披露はこういうものなのだとか。
古稀にして80年ぶりに名跡を復活させ、新たなスタートを切られた六代目竹本錣太夫さんにあやかりたいと、サインをいただきました。
一念岩をも通す?傾城反魂香
六代目竹本錣太夫襲名披露狂言として、「傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 土佐将監(とさのしょうげん)閑居の段」が上演されました。
免許皆伝のしるしである「土佐」姓を名乗りたいという願いが叶わず絶望した主人公の、最後に描いた絵が奇跡を起こすという物語で、口下手な夫とそれを補って余りある妻との夫婦愛がテーマとなっています。
曲輪文章の演題に隠された秘密とは?
「曲輪文章(くるわぶんしょう)吉田屋の段」は、勘当された若旦那と遊女の痴話げんかといってしまうと身も蓋もないのですが、仲直りしたところに若旦那の勘当が許され身請けの金まで用意されるという大団円で幕を閉じます。
ところで演題にある「文章」ですが、本当は一文字にまとめられているのです。文楽の演題の文字数は奇数に決まっているのですが、奇数は割り切れない→席が割れない→満員御礼という験担ぎのためなのだとか。
なるほど、芸事では縁起や験を大切にするそうですが、題字の数にまで気を配っているのですね。
おめでた尽くしの文楽初春公演で華やかな年初を
気軽に鑑賞できる文楽をもっと観てほしい
今回鑑賞した「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)土佐将監(とさのしょうげん)閑居の段」と「曲輪文章(くるわぶんしょう)吉田屋の段」は、歌舞伎でもよく上演されているそうですが、文楽は歌舞伎よりずっと気軽に観ることができます。
初春公演は26日まで続きますので、まだ観たことがないという方はぜひ一度足を運んでいただきたいものです。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【らしさ】です。
近年〇〇らしさといったものが駆逐され、いつでもどこでも対応できそうな汎用性の高いものが増えているようです。せめてお正月くらいは、お正月らしさを満喫したいと思います。
※今日はボタモチ、1個追加!
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