厚生年金と国民年金の統合が取り沙汰され、サラリーマン家庭からは、積立金が消えてしまうのでは?高い保険料を払ってきたのに許せない!という声があがっているようです。
そこで今回は、厚生年金と国民年金の統合で積立金の行方はどうなるのかを解説したうえで、サラリーマンは損をしてしまうのかという点についても検証したいと思います。
厚生年金と国民年金の統合で積立金の行方は?
実は厚生年金も負担している国民年金の支払い
厚生年金と国民年金が統合されると、国民年金の支払いに厚生年金の積立金が回されることになります。
しかし、現在でも国民年金の支払いの半分が税金でまかなわれ、残りを国民年金と厚生年金が被保険者の人数分を負担しているのです。
したがって、なんで今更統合?というのが本当のところでしょう。
積立金の行方は国民年金の底上げ費用
積立金は、年金が赤字になったときに取り崩されます。現在は厚生年金と国民年金はそれぞれ自前の積立金を持っていますが、国民年金の積立金の方が早く枯渇しそうな勢いです。
そこで積立金を統合することで、国民年金の底上げをしようということになりました。厚生年金は統合によって、積立金が早くなくなってしまうかもしれませんが、それで厚生年金が支払われなくなるということはありません。
後で紹介するように、厚生年金の加入者は国民年金の被保険者でもあるため、積立金の統合についてはさほどの問題はないのです。
厚生年金の適用拡大でさらなる基盤の安定を
厚生年金と国民年金を統合するために、さらなる厚生年金の財政安定化が望まれます。
そのため、厚生年金のパートなどへの適用拡大をふくむ年金改革が進められているのです。積立金を増やした後で、具体的に統合を検討するという流れなのでしょう。
厚生年金と国民年金はどちらが得?
そもそも年金は自分で選べない
厚生年金と国民年金ではどちらが得がという議論がよく行われますが、現状では自分で好きなものを選ぶことはできません。
会社勤めのサラリーマンの場合、自動的に会社の厚生年金に加入させられます。一方、自営業や学生のほかフリーターなどの場合は国民年金の1号被保険者となり、厚生年金に加入することはできません。
保険料の支払いは、厚生年金では給料から自動的に天引きされますが、国民年金の場合は納付書を金融機関やコンビニに持参したり、口座から引き落としたりする方法で支払います。
厚生年金の加入者は国民年金の2号被保険者
厚生年金と国民年金の財政管理は個別に行われていますが、厚生年金に加入している人は2号被保険者として国民年金にも加入しているのです。
よく「1階」といわれている部分が国民年金(基礎年金)で、「2階」部分が狭義の厚生年金となっており、保険料は会社と折半して払います。
なお、サラリーマンに扶養されている奥さんは国民年金の3号被保険者となりますが、保険料の支払いは不要です。
費用対効果が大きいのは厚生年金
自営業を営んでいる夫婦の場合、国民年金の保険料は年収に関係なく月額16,410円×2の32,820円です。もらえる年金は40年間保険料を払い続けた場合、最高で月額6.5万円×2の13万円となります。
一方平均月収40万円のサラリーマンと専業主婦の夫婦の場合、保険料は月額2.5万円程度。40年間保険料を払い続けてもらえる年金は月額約9.3万円+6.5万円の15.8万円です。
けれども実際には、これに経過的加算と加給年金も加わります。つまり厚生年金は国民年金より少ない保険料で、多額の年金を手にすることができるのです。
国民年金には減免措置も
国民年金の保険料は、収入に関係なく一律16,410円です。たとえば月収が12万円程度だった場合、16,410円の支払いはかなり厳しいのではないでしょうか。
国民年金で保険料の未納者が多い理由は、払わないのではなく払えないというケースもありそうです。そんな場合には、申請することで減免措置を受けられることもあります。
将来受け取れる年金は少なくなりますが、保険料の全額から3/4が免除されるので、未納状態が続いている方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
厚生年金と国民年金の統合でサラリーマンが損するわけではない
年金はなかなか破綻しない
厚生年金と国民年金の統合が報道されてから、厚生年金VS国民年金という図式が出来上がっているようです。しかし、サラリーマンにとっても国民年金は「我が事」であり、統合で積立金を誰かが持って行ってしまうというわけではありません。
選択の自由がなく強制的に加入させられるうえ、ほころびが目立つようになった年金制度ですが、自分の親たちが受け取っている年金を自分たちで用意することができるかどうかを考えると、オワコンとは言い切れないでしょう。
年金はいずれ破綻するという声もありますが、赤字国債と同様に案外持ちこたえるのかもしれませんね。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【赤字】です。
自国通貨を発行できる日本国は赤字になっても破綻することはありませんが、個人の生活において赤字が続けばいずれ破綻します。プライマリーバランスの黒字化は、家庭にこそ必要なものではないでしょうか。
※今日はボタモチ、半分追加…。
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