紀州のドン・ファンこと和歌山県田辺市の実業家・野崎幸助さん(77)が急性覚せい剤中毒で亡くなりました。野崎さんは生前、愛犬のイブちゃんに遺産相続させたいと公言していましたが、そのイブちゃんも野崎さんが亡くなる18日前に亡くなっています。
けれどもペットに遺産を相続させることはできるものなのでしょうか。今回は、ペットに遺産の相続権はあるのか?についてです。
ペットに遺産の相続権はあるの?
愛するペットに遺産を遺したいが…
飼い主さんにとってペットは家族同様、場合によっては家族以上に大切な存在です。愛するペットのために飼い主さんは、自分が亡くなったあともペットが幸せに暮らせるように手を打っておきたいものでしょう。
そのための方法として、ペットに遺産を遺すことができないものか…野崎さんもそのように考えていたようです。
日本ではペット自体が遺産
どんなに飼い主さんが愛していたとしても、ペットは日本の法律上「動産」扱いとなります。また、相続や遺贈を受けられる「相続人」は「人」に限られているのです。
つまり、ペット自体が遺産のひとつであるとともに、ペットは人ではないため遺産を相続することはできません。たとえ遺言書にペットへの遺産相続を書き遺していたとしても、その遺言には法律上の効力がないのです。
ペットに遺産を遺す方法はないの?
負担付き遺贈を活用しよう
どうあがいても、日本ではペットに遺産を相続させられないのでしょうか。アメリカでは多くの州で,ペットに遺産を相続させることができるそうなので、思い切ってアメリカに移住しよう…というわけにもいきませんね。
日本でペットに遺産を遺す方法として「負担付き遺贈」が考えられます。負担付き遺贈とは,その名の通り何らかの負担と遺贈がセットになったもので、「遺産をあげるからペットの世話をお願いね」という遺言をしておけば、間接的にではありますが愛するペットに遺産を遺すことができるのです。
とはいえ、遺産をあげた人が愛情を持ってペットの世話をしてくれる保障はありません。このような心配があるのなら、予め遺言執行者を決めておいてしっかりと監視してもらうことも必要となります。
遺言信託という手も
信頼できる遺贈先が見つからない場合には、遺言信託という手もあります。
これは信託銀行が販売しているサービスで、依頼を受けた信託銀行が相続発生後に遺言執行人として遺産相続の手続きを行い、その後は信託管理人として遺産をペットのために役立ててくれるというものです。
この方法なら、ペットのための遺産を他人に使い込まれてしまう心配はありませんね。
野崎さんとイブちゃんのご冥福を祈りたい
そもそもペットはお金を使えない…
とはいえ、ペットはいくら遺産を遺されても自分で使うことはできません。ペットにとっては、飼い主亡き後も愛情を持って世話をしてくれる人を残してもらえることが一番ありがたいことなのではないでしょうか。
最近は高齢者が寂しさを紛らわすためにペットを飼うケースが増えていますが、犬なら15年、猫だと20年の寿命があります。野崎さんのイブちゃんも18歳と長命でした。
シニア以降の方がペットを飼うときには、自分の余命と相談するとともに、自分亡きあとペットの面倒をきちんとみてくれる人を確保しておく必要があります。
ちなみに筆者宅の猫は現在13歳、遺す遺産はないけれど幸い後を託せる人はいるので大丈夫でしょう。おそらくは筆者のほうが長生きすると思われますし…。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【仕舞】です。この世を去るときのことを考えすぎると、ブルーな気分になるかもしれません。しかし少しずつ「荷物」を減らしてゆく心掛けは、自分自身の成仏のためにも必要なことだと思うのです。
※今日はボタモチ、1個追加…
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