リバースモーゲージは地方だとできない?自治体でなら利用できる?

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空き家

持ち家を担保に融資を受け、死後あるいは不要になったときに持ち家を売却して一括返済できるという「リバースモーゲージ」。こんな便利な仕組みがあるならぜひ利用したいと思い、東京スター銀行から資料を取り寄せ、個別相談会に申し込むことにしましたが…。

今回はリバースモーゲージが利用できる地域や、地方の場合でも自治体でなら利用できるかどうかについてです。

リバースモーゲージは地方だとできない?

地方

兵庫県は対象地域ということだけど…

リバースモーゲージを利用するためには、年齢や年収などさまざまな制限があります。けれども最大の関門は、日本全国どこに住んでいても利用できるというものではなく、対象となる地域が限られているということでしょう。

東京スター銀行の場合、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県が対象地域となっており、兵庫県民の筆者は利用できそうに思えたので、まずは資料を取り寄せて個別相談会について問い合わせようと電話してみました。

兵庫県内でも対象地区は限定的

東京スター銀行の担当スタッフは感じのよい方でしたが、対象不動産の住所を告げたところ「残念ながらサービス対応外です」といわれてしまいました。

はっきりとは教えてくれませんでしたが、兵庫県内でも対象となるのは地価の高い「摂津」エリア、つまり神戸周辺以東の地区に限られているみたいです。

兵庫県内の地価を見ると、神戸市中央区の坪単価は280万円ですがこれは例外的で、次点の灘区は90万後半です。他の上位地域としては芦屋市の116万円、西宮市の88万円、尼崎市の68万円、伊丹市の59万円が挙げられます。

銀行の貸付業務のひとつである以上リバースモーゲージはビジネスなので、担保割れリスクは可能な限り抑えたいところでしょう。

神戸市でも北区になると坪単価は筆者の居住地とさほど変わらないうえ、値下がり傾向が見られるようなので、神戸市内だからOKとは言い切れないかもしれません。

銀行によっては地方でもリバースモーゲージが可能かも

東京スター銀行は リバースモーゲージの老舗的存在ですが、最近では他の銀行も取り扱うようになっています。

たとえば、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県、三井住友銀行はプラス愛知県・大阪府・京都府・兵庫県が対象です。

りそな銀行は三井住友銀行の対象地域とその周辺県に加え、北海道・宮城県・新潟県・山梨県,長野県・広島県・福岡県・熊本県など広域が対象となっています。とはいえ、おそらく道・県庁所在地周辺でなければ対象とならないでしょう。

地元の地銀は頼もしい味方かも

リバースモーゲージは担保が不動産です。したがって地域性が強いため地方銀行に強みがあると考えられます(東京スター銀行もれっきとした第二地方銀行です)。

全国に地方銀行は64行、第二地方銀行は41行ありますが、全てがリバースモーゲージを扱っているわけではありません。

兵庫県の地方銀行としては、但馬銀行(地方銀行)とみなと銀行(第二地方銀行)の2行がありますが、リバースモーゲージを扱っているのは但馬銀行だけです。

加えて但馬銀行のリバースモーゲージは、本人が居住する住宅の建設・購入・リフォームや借換資金、子供世帯が居住する住宅の建設・購入資金、本人が入居するサービス付き高齢者向け賃貸住宅の入居一時金などに、借入金の使い道が制限されています。

したがって、残念ながら筆者が希望する老後の生活資金として役立てることはできないわけです。

自治体のリバースモーゲージなら利用できる?

自治体のリバースモーゲージとは

リバースモーゲージは自治体でも行っているため、銀行がダメでも利用できるのでは?と思い、地元の社会福祉協議会に問い合わせてみました。

自治体のリバースモーゲージは「不動産担保型生活資金」といい、社会福祉協議会が窓口となり、持ち家に住み続けながら自宅を担保にして生活費を借りられる制度です。利用できるのは以下のケース以外の方となっています。

  1. 低所得者世帯(市町村民税非課税程度)でない場合
  2. 一定額以上の預貯金や年金がある場合
  3. 対象となる不動産を単独で所有していない場合(同居の配偶者との共有はOK)
  4. 対象となる不動産に抵当権や賃借権等が設定されている場合

1は具体的に以下のような方です。

  •  生活保護を受けている
  • 未成年者もしくは障害者、寡婦・寡夫であって、前年の所得金額が125万円以下である
  • 神戸市の場合、前年度の所得金額が
    A. 扶養している配偶者または扶養家族がなく、35万円以下
    B. 扶養している配偶者または扶養親族があり、35万円×(控除対象配偶者・扶養親族の数+1)+21万円以下

貸付対象要件はかなり厳しい

担当職員の方によると、筆者の居住地域では「不動産担保型生活資金」を利用される方はほとんどおられないというか、条件が厳しいため利用できないというのが現状ということでした。貸付対象条件は上記の条件に以下のものが加わります。

  1. 原則65歳以上の高齢者世帯
  2. 借入申込者の配偶者又は父母(配偶者の父母を含む)以外の同居人がいない
  3. 建物のみの所有や集合住宅(マンション)は対象外
  4. 土地の評価額が1,500万円以上

自治体のリバースモーゲージも福祉ではない

筆者が目を疑ったのは4番目の条件です。一般的な住宅の敷地面積は35~40坪程度ですが、土地の評価額を1,500万円にするためには、坪単価は40万円程度なければ無理です。

筆者の居住地の場合は市内平均の坪単価が20万円程度なので、75坪程度の広さが必要となります。貸付条件によっては,1,000万円以上でも可能ということですがそれでも坪単価は25~28万円、市内一等地であればなんとか届くというところでしょう。

平均的な坪単価なら広さは50坪程度必要ですが、収入制限をクリアしている方で、これだけの不動産を所有している方はあまりおられないとみられます。担当職員の方もこの条件がネックで「不動産担保型生活資金」が普及しないようだと言っていました。

つまり、自治体のリバースモーゲージも福祉とは言い難いもので、地価の高い地域か、広い敷地の家に住んでいなければムリということです。

▼空き家にしたくないなら

リバースモーゲージを利用できるのは限られた人たちだけ

やはり子供に始末してもらうしかなさそう

不動産相続

持ち家の断捨離手段として使えそうだし、心許ない年金の補強策にもなりそう…と検討を始めたリバースモーゲージですが、利用できるのは限られた人たちだけのようです。

また、借入金の返済に持ち家を充てるにしても、相続人が不動産を処分しなければならないため、結局は子供の手をわずらわすことになります。早々と持ち家を処分してサービス付き高齢者向け住宅に転居してくれた両親には、感謝しかありません。

しかし、リバースモーゲージを利用すれば物納で返済できたり相続税が安くなったりするなど、それなりのメリットも期待できます。条件をクリアできる方なら、検討してみる価値はあるでしょう。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【条件】です。

安全でおいしい話などあるものではなく、それなりの条件をクリアしなければならないのです。詐欺話にひっかからないためにも、世の中の「相場」を知っておきたいものです。

※今日はボタモチ、半分追加…。

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