デビルマンやマジンガーZの作者として知られる永井豪氏の画業50年突破を記念した展覧会「永井GO展」が、大阪で開催中です。
子供の頃、TVアニメで永井作品を見ていた筆者は、開催初日の朝イチに観覧。あいにくの雨でしたがびっくりするほど大勢のファンが詰めかけていました。今回は、展示会場の模様や会場の詳細などをお伝えします。
一際魅力的だった永井アニメ
毎日さんざんアニメを見ていた子供時代の筆者。その中で一際魅力的だったのが、「デビルマン」「マジンガーZ」「キューティーハニー」の3作品で、毎週力を入れて鑑賞していました。
特にキャラクターのデザインと見せ方がカッコよく、プールからせりあがってくるマジンガーZにホバーパイルダーがオンするオープニングシーンがお気に入りでした。
また、建設中のビルの鋼材に腰掛けて物思いにふけるデビルマンのエンディングシーンや、ハニーの華麗な変身シーンなど、毎週同じシーンを見ながら「やっぱりカッコイイ」と思っていたものです。
現在、永井豪氏は大阪芸術大学でキャラクター造形学科を教えておられますが、突き抜けたキャラ創りと造形のセンスを氏から学べる学生さんたちは、とても恵まれていると思います。
▼物思いにふけるデビルマン
ファン層は世代や国を越えて
筆者が会場に到着したのは10時20分頃でしたが、すでにグッズ売り場には人があふれていました。本展示限定のフィギュアがお目当てかと思われるファンは、筆者の予想に反して若い世代の人がいっぱい。
永井作品は現在でも実写映画にリメイクされていて、筆者のようなオールドファンだけでなく、若い人たちや海外の新しいファン層を獲得し続けているようです。
デビルマンは1972年に発表されましたが、40年近くも前の作品とは思えないものです。これは作品が時代を超える普遍性を持っているからではないでしょうか。
展示で振り返る永井氏の画業50年
展示では、画業50年にわたる作品の直筆原画やカラーイラストを600点以上見られます。
ギャグからお色気、さらにはバイオレンスやSFなど幅広いジャンルの作品群を「鬼と悪魔」「ヒーロー&ヒロイン」「ギャグ」「ロボット」と大きく4つに区分して展示しています。
ほかにも「デビルマン」「マジンガーZ」のエリアや、永井豪の仕事机を再現したコーナーなど、さまざまな切り口で見せてくれます。
▼カッコよすぎるフィギュアたちは撮影OK
筆者が仕事机を見ていたところちょうどTV取材が始まり、永井豪氏ご本人が登場しました。
童顔もあってかとても73歳にはみえない永井氏は、スケッチブックにサラサラとキューティーハニーを描いて見せてくれ、実物の永井氏に遭遇できた筆者はとてもラッキーでした。
展示会ショップのグッズが凄い
筆者の子供時代、玩具メーカーのバンダイから「超合金」でできたマジンガーZが売り出されました。その系譜は現代にも引き継がれ、本展限定モデルがグッズとして登場しています。
限定生産の「超合金魂 マジンガーZ D.C.アニメカラーバージョン」(15,120円)の独占先行販売が行われるほか、「超合金の塊」シリーズの「マジンガーZ」「グレートマジンガー」(各2,160円)の初となるフルカラーバージョンが同展オリジナルとして販売されます。
また、全展示作品を収録した図録(3,000円)は、描き下ろしのイラストやマンガを収録した別冊付録付きの豪華版。
さらに永井GO展メインビジュアルをデザインしたTシャツや、ハニーフラッシュがデザインされたタイツ、デビルマンの目力がポイントのアイマスクなど、ユニークなグッズもありますが、売り切れ入荷待ち商品や入荷未定フィギュアも出ています。
ショップでは、お目当てのグッズを手にした会計待ちの長い行列ができていました。グッズを購入したい場合は、入荷状況を調べたうえで開場後すくにショップへ走られることをおすすめします。
業界屈指の多作・量産の秘密
350作以上ものたくさんの漫画を世に送りだした永井氏。
現存の四大週刊少年誌(週刊少年ジャンプ・週刊少年マガジン・週刊少年サンデー・週刊少年チャンピオン)とすでに休刊した週刊少年誌3誌(週刊ぼくらマガジン・週刊少年キング・週刊少年宝島)の全てに連載経験を持っている唯一の漫画家です。
またデビュー5年目の1972年5月ごろには、週刊誌5誌で連載を持っていました。漫画を量産する秘訣は、
- 睡眠時間をたくさん削る
- 食事をしながらも描く
- 時には食事を抜いて描く
- 休日を作らない
- ただひたすら早く描き続ける
要は仕事の時間を増やしつつ仕事の速度を上げるという、いたってオーソドックスな手法で、超売れっ子だった石森(後の石ノ森)章太郎氏のアシスタントをしていたころに学んだ「技」なのだとか。
今ならブラックといわれてしまいそうな状態ですが、仕事漬けの毎日が永井氏の仕事能力を向上させたということですね。
永井作品の魅力の源泉
あふれるイマジネーションから生み出された数々の魅力的なキャラクターやストーリー。やはり「才能」なんだと思いますが、永井氏は自然体で仕事に臨んでいるようで、次のようなことを語られています。
- やりたいことをやっただけ
- 面白いものをとことん突き詰めたい
- 誰も見たことがないものを描きたい
- 駄目といわれたらなおさらやりたい
かつて、大御所から叱責されたことで内定していた連載企画が没になったり、「ハレンチ学園」で社会現象といえるほどの激しいバッシングを受けたりしたこともあった永井氏。
そこで氏はめげないどころか「ダメといわれたりタブーとされたりしてることは、漫画でまだ誰もやっていない」ということに開眼し、構わず切り開いていけば全く新しいものがつくれると悟られたそうです。
このような話をきくと、他人の意向を気にせず我が道を行く唯我独尊タイプの人のように思えますね。
けれどもアニメや新連載の企画においては、スポンサーや出版社の事情や意向に沿いながら自分のやりたいことに合わせていくといった、優れたバランス感覚も兼ね備えておられるようです。
このようなことが、永井氏の仕事の幅広さと奥行きの源泉となり、新しいジャンルの漫画を次々と発表してこられたのかもしれません。
「画業50年“突破”記念 永井GO展」の詳細
- 会期:2018年9月8日(土)~9月24日(月・振替休日)※会期中無休
- 会場:大阪文化館・天保山(大阪市港区海岸通1丁目5-10、 海遊館となり)
- 開館時間:10時~17時(入館は閉館の30分前まで)
- アクセス:
- 大阪メトロ中央線「大阪港駅」下車 1・2番出口より徒歩約5分
- 大阪シティバス「大阪駅前88系統」「なんば駅60系統」にて「天保山」下車徒歩約3分
- 入館料:一般1,500円・大高生900円・中小生500円・小学生未満無料(税込み)
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永井豪氏73歳はまだまだこれから
永井豪氏は73歳になった現在も連載を2本抱えており、「描きたいアイデアはまだまだある」と語っておられます。
若年層や海外にまでファンがひろがっていることは、永井氏の品がユニバーサル化しているということでしょうか。画業50年を超えた永井氏の、今後の仕事が期待されます。
今日のボタモチ
今日のボタモチは「進化」です。
能力は使わないと退化しますが、使い倒すことで鍛えられます。量が質に転化することで、別のステージへと進化することが期待できるかも?
※今日はボタモチ、1個追加!
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