文楽を観てみたいけれど難しそうで…という方におすすめしたいのが毎年6月に開催されている「文楽鑑賞教室」です。出演者による分かりやすい解説があって、文楽ははじめてという方も気軽に観ることができます。今回は、文楽鑑賞教室の詳細や2019年の演目・みどころなどです。
文楽鑑賞教室は初心者におすすめ
文楽鑑賞教室は今年で36回目
文楽鑑賞教室は、国立文楽劇場が開場した年から毎年行われており、2019年6月で36回目となります。
伝統芸能を次世代に引き継ぐためには演者の養成だけでは足りず、劇場に足を運ぶ愛好者の存在があってこそです。
文楽はもともと大坂で生まれた庶民のための芸能で、かつては気軽に楽しんでいたものでしたが、いつしか難しいものと感じられるようになりました。
そこで、これまで文楽に触れたことがない方でも親しみやすいように、代表的な演目を取り上げやさしい解説をつけたものが、文楽鑑賞教室です。
出演者が文楽を分かりやすく解説
文楽鑑賞教室では、ビジュアルで理解しやすい作品と名作の上演をはさんで、出演者による文楽についての分かりやすく解説が、実演付きで行われます。
文楽の三大要素である「太夫」「三味線」「人形」について、出演者が各々の役割や観劇のポイントなどを教えてくれるのです。
「太夫」の声の調子と「三味線」のバチさばきで情景や感情が描き分けられる様子や、人形の仕掛けや生きているように見える仕草の表現方法などを知ることができ、とても興味深い内容です。
なお、期間中には外国人も楽しめる「Discover BUNRAKU」と、会社帰りに気軽に立ち寄れる「社会人のための文楽入門」も毎年行われています。
常設展示では企画コーナーも
国立文楽劇場1階の常設展示「文楽入門~文楽へようこそ~」では、企画コーナーにて「管原伝授手習鑑を知る」が展開されています。
文楽の歴史が分かる資料をはじめ、太夫・三味線・人形について分かりやすい解説つきで実物やパネルが展示されているのです。
松王丸の衣装やかしらのほか、客席からは見えない内側がよく分かる舞台模型などもあります。
タダでもらえる冊子もgood
普段の公演ではプログラムが650円で販売されていますが、文楽鑑賞教室では「文楽入門 鑑賞のしおり」と、配役・床本に漫画がついた「公演パンフレット」がタダでもらえます。
上演前に目を通して軽く「予習」しておけば、作品をより楽しく鑑賞できるはずです。
2019年文楽鑑賞教室の演目とみどころ
ビジュアルで理解できる『五条橋』
2019年文楽鑑賞教室の演目は『五条橋』と『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』です。
『五条橋』は、牛若丸と弁慶が五条橋で出会って主従関係を結ぶまでの様子が描かれたもので、薄衣をまとった優男の牛若丸にいかつい大男の弁慶が翻弄されるさまが、華麗に表現されています。
「京の五条の橋の上~」で始まる童謡『牛若丸』で歌われているお話で、観るだけで理解できる演目でしょう。
『菅原伝授手習鑑』は三大名作のひとつ
『菅原伝授手習鑑』は、「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」とともに、文楽三大名作のひとつとされるものです。
上演された4段目「寺入りの段~寺子屋の段」は、大宰府に流された菅原道真の恩に報いるために奮闘する人々の姿を描いたもので、白装束に身を包み我が子の野辺送りをする松王丸夫妻の悲しみが胸に迫ります。
報恩のためとはいえ、我が子の命を差し出す感覚は理解しづらいものですが、このあたりに明治維新以前の日本人が持っていたメンタリティを読み解く鍵があるのかもしれません。
国立文楽劇場のよくある疑問
劇場内でお弁当の購入や飲食は?
国立文楽劇場の2階奥「文らく茶屋 福屋」では、お弁当や飲み物が販売されています。休憩時間にソファやテーブルが置かれたロビーで食べることができますが、おにぎりやサンドイッチなど外からの持ち込みもOKです。
とはいえ、文楽鑑賞教室での休憩時間は10分しかないので、急いで食べないと間に合わないかもしれません。
ロッカーは利用できる?トイレは?
2階の両サイドにロッカーがありますが、利用料金は小・10円、大・20円と破格の安値です。荷物や上着はロッカーに預けて、身軽に鑑賞されることをおすすめします。
なお、それぞれのロッカー脇にトイレがありますが、奥側のトイレのほうが個室の数が多く、出口も設けられているため流れがスムーズです(男子トイレの詳細は未確認)。
イヤホンガイドはあるの?
国立文楽劇場では、作品の解説を聞くことができるイヤホンガイドを借りることができます。
貸出料(今回は450円)+保証料1,000円(返却時に返金)で利用でき、みどころやストーリーなどの解説を聞きながら鑑賞すれば、楽しさ倍増です。
文楽は高くない?
文楽鑑賞教室の一般料金は3,900円で、これを高いと感じるかどうかは人それぞれです。もし文楽が気に入ってもっと見たいとお考えなら、「国立文楽劇場友の会」に入会されてはいかがでしょう。
入会時に入会金1,030円(税込)、年会費1,030円(税込)が必要ですが、チケットを約20%引で購入できます。
さらに一般の1日前に座席を取れたり、会員限定イベントに参加できたりといった特典もあって、超おすすめですよ。詳しくは公式webサイトをごらんください。
文楽がもっと身近になる鑑賞教室にぜひ
文楽はちっとも難しくない
2003年にユネスコの「世界無形遺産」にも登録された文楽ですが、難しいものと思っておられるならそれは誤解です。
伝統芸能であるため奥が深いことは事実ですが、かつては庶民が気軽に楽しんだ娯楽であり、文楽の話のネタそのものは現代の大河ドラマや週刊誌に掲載される記事のようなものと考えてOKです。
文楽は接する機会が少ないため身近に感じづらいかもしれませんが、ぜひ一度、劇場に足を運んで鑑賞いただければと思います。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【自在】です。
芸能鑑賞には、国語のテストのような正解はありません。心の赴くままに楽しめばよいもので、100人いれば100様の感じ方があって当然でしょう。
※今日はボタモチ、1個追加!
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