寒くなると、関西人は粕汁が恋しくなります。具材は地域や家庭によってさまざまですが、ぜひともおすすめしたいのが皮くじらです。
今回は、播州でメジャーな皮くじらを使った粕汁の美味しい作り方をご紹介。これまでの粕汁とは一味違う、濃厚な旨味を堪能できますよ。
粕汁のおすすめ具材は皮くじら!
皮くじらはくじらの皮と皮下脂肪
筆者の居住する播州地方では、冬になると近所のスーパーで皮くじらが普通に売られています。皮くじらとはくじらの皮と皮下脂肪の部分で、関西では粕汁やおでんのほかハリハリ鍋の材料として使われているものです。
捕鯨問題のあおりで一時価格が高騰していましたが、少しずつ落ち着いてきたようで庶民にも手が届くようになりました。
皮くじらの扱い方のコツ
皮くじらは一口大に切って使いますが、脂肪の塊であるためまな板に乗せるとあとが大変です。
筆者はまな板を使わずに、台所用のハサミでチョキチョキ切っていますが、後片付けが楽なのでおすすめです。切った皮くじらは軽く湯通しして余分な脂を落としてから使います。
▼まな板は使い方次第で寿命が延びる
酒粕の選び方と量はお好みでOK
粕汁に欠かせない材料は、酒粕です。
関西では昔から簡単に手に入れることができた酒粕ですが、地方によってはあまり見掛けられないところもあったとのこと。ありがたいことに、今ではネットで簡単に取り寄せられるようになりました。
美味しい粕汁を作るのためには、酒粕選びがポイントです。酒粕は日本酒の製造過程で分離された副産物にあたるもので、おいしい日本酒の酒粕はおいしいとみて間違いありません。ちなみに筆者は、コスパの良い純米酒の酒粕を選んでいます。
酒粕の量の目安は4人分で150g程度ですが、もっとたくさん入れてもOKです。
粕汁の材料は根菜がおすすめ
皮くじら・酒粕に続く粕汁のおすすめ材料は、根菜類です。大根・人参・こんにゃく・ネギが一般的ですが、里芋とごぼうはぜひ加えていただきたい食材といえます。
きのこを入れるならしめじがおすすめです。なお、皮くじらが入ると油揚げの影は薄くなるため、入れなくてもよいでしょう。
粕汁の美味しい作り方
粕汁の作り方は、今まで作ったことがないという方には難しいもののように思われるかもしれません。けれどもそんなことは全くなく、根菜の味噌汁の作り方とほぼ同じ。
湯通しした皮くじらと適当に切った野菜を昆布出汁で煮て、酒粕と味噌または醤油を加えたものと理解すればOKで、手順は以下のとおりです。
- 湯通しした皮クジラと野菜に水と昆布を加えて火にかける
- 沸騰したら弱火にして7割がた火を通す
- 酒粕と味噌を加えたら蓋をして火を止める
- そのまま10分ほど置いてから全体を混ぜる
- 青み野菜を加えたら出来上がり
4人前で皮くじらは120g、酒粕は150gほどが目安で、昆布は取り出さずに一緒に炊いて食べてしまいます。取り出すなら酒粕と味噌を加える前のタイミングでどうぞ。
この作り方だと酒粕や味噌を溶かす手間が省けますが、醤油味や塩味にするときには3のときに酒粕だけを入れて4で混ぜるときに醤油・塩を適宜加えてください。
青み野菜は青ネギのほか菊菜(春菊)やセリ、薬味は七味か粉山椒が美味しくておすすめです。
皮くじらが手に入らないときは
播州以外の地域では皮くじらの入手が難しいところもあるようで、粕汁の具材としては皮くじらより豚肉や鮭などのほうが一般的かもしれません。
そんな場合に試していただきたいのは、鰤のアラ。くじらの価格が高騰していた頃、我が家では皮くじらの代わりに鰤のアラで粕汁を作っていました。
皮くじらには及ばないものの、鰤のアラを使うと豚肉や鮭で作るより濃厚な味わいの粕汁に仕上がります。鰤のアラは、軽く洗って湯通ししてからどうぞ。
粕汁を食べたら運転は避けたほうが無難
酒粕には8%ほどのアルコール分が含まれています。粕汁は加熱調理していますが、アルコール分はいくらか残っているようです。
アルコールに過敏な体質の方の場合、粕汁で軽く酔ってしまうことも考えられます。
また、本人に自覚がなくても呼気からアルコールが検出されることもあるため、粕汁を食べたら車の運転はしないほうが無難でしょう。
寒い冬の夜は皮くじらの粕汁で温まりたい
来年からはクジラがもっと身近に?
日本は国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、来年7月から商業捕鯨を再開することになりました。
外国に対しては万事弱腰の日本ですが、なぜか捕鯨に関してだけは独立国としての姿勢を堅持し続けており、やればできるではないかと見直しています。
来年からは、もっとお手頃な価格で皮くじらを買えるようになるかもしれませんね。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【イデオロギー】です。
強硬な反捕鯨国は、IWC(国際捕鯨委員会)の場において「いかなる状況下であっても捕鯨に反対である」と公言しています。
これは信仰の世界のようにもみえますが、インドが「ウシは特別な動物だから食べてはいけない」と主張して他国にも強制するようなことはありません。つまり捕鯨問題は、イデオロギーの問題といえるわけです。
※今日はボタモチ、1個追加!
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