山の日の効果でしょうか。装備や情報が手に入りやすくなり、気軽に山デビューできるようになり、山愛好者が増えているようですが、それにともない、遭難事故も増加の一途をたどっています。
身近にある低い山においても遭難する可能性はあるため、万一のときの備えが必要です。今回は山で遭難したときに生還できる行動や、備えておくべきグッズなどについてです。
山で遭難したときに生還できる?
「山で遭難」と聞けば、北アルプスなどの高く険しい山や雪山を思い浮かべるかもしれません。けれども、夏場の低山でも遭難事故はよく起きているのです。
どんな山でも遭難する可能性はアリ
北アルプスや雪山に散歩気分で出掛ける人はいませんが、校区の小学生が遠足で登るような山へなら、ほとんど普段着レベルのスタイルで入ってしまう方もおられます。
しかしどんな山でも遭難の危険性はあり、遭難の原因No.1である「道迷い」は、高山よりむしろ近所の低山で発生しやすいのです。
夏の低山でも遭難で死亡する?
低山での遭難では、滑落や落石事故の負傷が直接の原因となって亡くなることは、あまり多くありません。
怪我をしたことで山を降りられなくなったり、道に迷ってあちこち歩き回るうちに日が暮れてしまったりすることで遭難してしまうのです。
夜になると夏の低山でも冷え込みます。運悪く風雨に見舞われたりすると一気に低体温になってしまい、疲労凍死に至ることもあるのです。
遭難したとき生還の分かれ道は?
遭難で生還できるかどうかの分かれ道は、体温と体力を温存できるかどうかにかかっています。
遭難してしまっても、運良く洞穴や炭焼き小屋などの風雨をしのげるところに逃げ込むことができれば、生還の可能性はかなり高くなるのです。
とはいえ、そうそう都合よくシェルターの近くで遭難することはないでしょうから、幸運を当てにせずしっかり対策しておく必要があります。
山で遭難したときとるべき行動とは
遭難したかも?と思ったときの初動で、生還できるかどうかが違ってきます。残念ながら多くの場合、パニック状態になって深みにハマってしまいがちになるということを知っておきましょう。
とにかく落ち着く
道に迷ったり転倒や滑落で怪我をしてしまったりした場合、とにかく気持ちを落ち着けることが大切で、とりあえず水でも飲んで一息入れることをおすすめします。ひとまず冷静さを取り戻すまで、迂闊に動かないことです。
道に迷ったら
道が分からなくなったら、迷わず来た道を引き返しましょう。戻り方が分からない場合は、尾根を目指して登ります。
多くの方が「山で迷ったら降りてはいけない」ということを知っているのですが、なぜか谷の方へ降りてしまって戻って来られなくなるのです。
オカルト好きな知人は「先に逝った人が呼んでるから…」と言っていますが、魔が差したとしか思えない判断をしてしまうのだから、ひょっとしてあり得るのかも?
▼山に行く前にぜひとも読んでほしい
ドキュメント道迷い遭難 (ヤマケイ文庫) [ 羽根田治 ] |
怪我をして歩けなくなったら
転倒や滑落で負傷して歩けなくなった場合、助けを呼ばなければなりません。ケータイやスマホが使える状態なら110番か119番へ連絡しますが、無理な場合は、他の登山者が通りかかるのを待つしかありません。
連れがいる場合なら助けを呼びに行きますが、無理は禁物です、場合によっては、連れにサポートしてもらいながら少しずつ下山できるかもしれませんが、怪我人を抱えたり背負ったりして山道を下るのはかなり難しいものです。
下手をするといっしょに転倒・滑落してしまうことにもなりかねないので、慎重に行動してください。
▼山でスマホを賢く方法
日が暮れてきたら
明るいうちに下山できそうにない場合、日が暮れてしまう前にビバーク(野宿)の準備を始めてください。明るいうちになんとが下山しようと歩きまわるのはかえって危険です。
できるだけ雨や風を避けられそうな場所を探しますが、崖や川の側は避けましょう。いい場所が見つかったら、地面に落ち葉や枯れ草を敷いておくと冷えが和らぎます。
雨が降ってきたら
山の中で雨に降られると命に関わります。昼間でも雨に濡れてしまうと体温を維持できなくなり、疲労凍死の危険性が一気に高まるのです。
山の天気は変わりやすいものですが、何の前ぶれもなくいきなり雨が降り出すことはあまりありません。怪しい雲が現れたり嫌な風が吹いてきたりしたら、降り出す前に雨をしのげそうな場所に移動したいものです。
霧が発生したときも雨の場合と同様に、身体を濡らさないように対処してください。また視界が悪くなってしまい大変危険なので、霧が晴れるまで待つのが賢明です。
山での遭難に備えるグッズ
遭難に備えるグッズはテントやストーブなどたくさんあります。しかしそれらの装備をザックに詰めるとかなりの重量となり、初心者が背負えるものではありません。
軽くてだれでも簡単に使えるもので、あるとないでは大違いになるグッズを厳選してご紹介します。
雨具
山に入るなら必携のグッズです。風よけや防寒着にもなるので、しっかりしたものを用意したいものです。ゴアテックスのウェアは高価ですが、それだけの値打ちはありますよ。サイズは少し大きめのモノがおすすめです。
使い捨てカイロ
夏の低山でも夜間は冷えます。山専用の火を使うカイロやストーブもありますが、結構重くて使い方も面倒なのです。開封するだけで使える使い捨てカイロがおすすめです。
明かり
夜になると、満月でもない限り山のなかは真っ暗になります。たとえ小さなライトでも、明かりがあれば心強いものです。
食料
お腹に何か入れると体温が上がります。食べやすさと栄養補給の面からゼリー飲料が最適ですが、飴玉ひとつでも糖分の補給ができるので、リュックのポケットに常備しておきたいものです。
防災シート
防災セットによく入っている銀色の薄っぺらのシートです。保温性や防水性が高く、頭からすっぽりかぶるとテントの代用になります。
光を反射するので、目に付きやすいというメリットも。安いうえに小さくて軽いので、ぜひ常備していただきたいものです。
山で遭難して生還するためにできること
事前にできることもある
遭難したときの備えとして、山に入る前にできることがあります。それは山に登ることを家族や知人に告げておくことと、保険への加入です。
登る山やルート、下山予定時間が分かっていれば、万一のとき捜索活動を進めやすくなり、早期に発見される可能性が高まるのです。登山計画書の作成と単発の山岳保険への加入をおすすめします。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【明暗】です。人間は動物としてはかなりひ弱にできています。そのことを自覚しておくことが、イザというときの明暗を分けているようです。
※今日はボタモチ、1個追加!
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