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追悼特別展 高倉健で名作を観放題!男の美学ここにあり

投稿日:2018年5月1日 更新日:

西宮市大谷記念美術館で開催中の「追悼特別展 高倉健」では、最後の映画スター・高倉健の出演全作品を抜粋で鑑賞できます。

筆者は2時間半掛けて全作品を堪能、今回は特別展後半の展示作品のなかからいくつかを取り上げ、健さんの魅力に迫りたいと思います。

独立後の健さんは変わったのか

任侠映画で一世を風靡した健さんでしたが、時代の流れは急激に変化していたのです。娯楽の王座は映画からテレビに移り、義理や人情を重んじる気風も薄れてしまったかのようでした。

古風な男・健さんは、どうやって映画スターであり続けていったのでしょう。作品のなかの健さんから、それを見つけられるかもしれません。

★特別展の詳細や前半の展示を紹介

幸福の黄色いハンカチ

東映から独立後の1977年公開作。筆者は中学校の体育館で授業の一環としてこの作品を鑑賞しました(これで年齢がバレます)。

第1回日本アカデミー賞ほか数々の賞を総ナメにした本作は、出所後の食堂でのシーンに健さんは2日間絶食して臨んだというエピソードや、満艦飾の黄色いハンカチが景気よくはためくシーンでも有名です。

人情ドラマのイメージが強い山田洋次監督の作品ではありますが、主人公がムショ帰りというあたりに任侠・ヤクザ路線の片鱗が感じられます。また、任侠作品と独立後の作品には一貫して流れる伏流水のようなものがあり、それは抑えた人間味と隠しきれない危うさなのではないかと、筆者は思うのです。

野生の証明

1978年に公開された、新興の角川映画第3作目。スケールの大きさと豪華キャストに加え、新人・薬師丸ひろ子の不思議な魅力や主題歌のヒットなど、話題満載の作品です。

健さんの役どころは元特殊工作隊員で、過去を隠して生きようとするものの隠しきれず、強大な敵に立ち向かうことになるという設定でした。

着流し・長ドズは登場しませんが、止むに止まれず人を殺めてしまったり、償いのために自分を捧げようとしたりする(たぶんこれがケジメ)あたりに懐かしの任侠路線を踏襲しているように感じたのは、筆者だけではないと思います。

夜叉

1985年公開、当時はまだ映画館の入れ替え制が一般的ではなく、ぶらりと映画館に立ち寄って途中から観始め、終わった後も居座って観始めたところまで観るといったスタイルが一般的でした。

いつものようにぶらりと映画館に入った筆者が、丸々2回以上観てしまったのが本作。田中裕子の憎らしいほどのいい女っぷりと、ビートたけしの凶暴ぶりに加え映像の美しさも印象深く、健さん映画のなかで筆者が最も好きな作品なのです。

健さんの役どころは、小さな漁村で妻と暮らす漁師。かつては大阪・ミナミで鳴らしたヤクザだったということを隠し続けていました。そこへやって来た田中裕子扮する蛍子との絡みで、秘密が暴露されてしまうというストーリーです。

「寡黙で実直な男」と「危険な香りの男」という、健さんのいわば二枚看板を同時に堪能できる贅沢な作りで、「ケジメ」と「止むに止まれず」の間をさまよう任侠テイストもたっぷりと味わえました。

また、健さんは作品中でさまざまな図柄のスミを入れていますが、筆者は本作の「夜叉柄」がベストではないかと思うのです。

鉄道員

1999年公開の東映作品。浅田次郎原作のメルヘンタッチな小説を映画化したものです。この作品を観て、筆者は初めて健さんが自分の父親より年長であることに気づきました。まさしく筆者の「女子の終焉」を飾るのが本作です。

旧国鉄はストばかりしていて、国民の足であるという自覚はゼロのようでした。そのなかでスト敢行中に集団就職の列車を走らせたり、娘や妻の臨終にも立ち会わず列車を運行させたりする、職業人の鑑のような人物が健さんの役どころ。

本作ではさすがに「危険な男の香り」は感じられませんでしたが、最期を雪に埋もれながら駅のホームで迎えるあたりが「ケジメ」なのでしょう。最近ではワークライフバランスが叫ばれていますが、ワーク=ライフという人生も悪くないかなと、最近思うのです。

あなたへ

2012年公開の言わずと知れた健さんの遺作。シアターの入り口には手押し車が複数台並んでいたことを覚えています。

筆者が介護予防の仕事を始めていたこともあってか、散骨について深く考えさせられました。お墓の煩わしさからか海に象徴される自由さへのあこがれからか、散骨への関心が高まっていた頃でしたが、本作を観てお墓や遺骨は遺族のモノなのではないかと思うようになったのです。

また、共演の佐藤浩市は本作では少々情けなく見える役どころを演じていましたが、同時期に出演していた「のぼうの城」では勇猛な武将役を演じていて、その振れ幅の大きさに驚きました。

本作は全編人情ドラマのように見えつつも、鳩を飛ばす前に退職届を投函するところが「ケジメ」なのかなと思うのです。

「追悼特別展 高倉健」の鑑賞を終えて

筆者が生意気盛りだった頃(反抗期がやたらと長かった)、「誰が」やったかで評価や対応が変わることに強い違和感を持っていました。

しかし、健さんの「不器用ですから…」はすんなり受け入れていたのです。他の人の言葉なら「じゃあ直せば?」と思うに違いないくせに…。

「あなただから」ということはアリなんだということを知って、少し大人になった筆者でした。ミュージアムショップで購入した図録をめくりながら、至福のひとときを過ごす今日この頃です。

「追悼特別展 高倉健」をお見逃しなく!

結局健さんは健さんのまま

独立後の作品で任侠映画といえるのは「冬の華(1978年)」くらいですが、どの作品にも伏流水のように同じ水が流れているように感じます。つまり、時代が変わっても健さんは健さんのままで居続けたのだと思うのです。

会場を訪れた人たちは、そんな変わらない健さんの内面に、かつての自分を探そうとしているのかもしれません。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【変化】です。

祇園精舎を持ち出すまでもなく、諸行は無常なものです。しかし不変のものもあるようで、それが普遍のものになっていくのかもしれません。

※今日はボタモチ、1個追加!

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若杉ひふみ
兵庫県生まれの兵庫県育ち
アラ50のO型
現在、昼間は介護予防事業、アフター5はエイジレスライフ実現への考察と実験に勤しむ日々です。
介護予防につながるエイジレスライフの奥義は、好奇心を失わないこと。その実践として「興味本位」な毎日を過ごしています。おいしそうなボタモチはとにかく食べてみよう!ということで、新たな世界との出会いに加え、足腰が強くなるというおまけも付いてきました。
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