読書離れが問題となっている中、子供を本好きに育てようとする動きが活発になっているようです。また、読書が好きだと頭がよくなるという都市伝説もあります。
今回は、先天性活字中毒者である筆者の実体験から、読書についてのあれこれを語ってみようと思います。
本好きは悪いこと?
本を読んだら叱られた
筆者は、物心ついた頃には、もう本にかじりついていました。本だけではなく、お菓子の外袋に表示された原材料名から、薬の効能書きまで、活字を見れば読まずにいられない中毒体質でした。
本があれば、何時間でもひとりでいられる手の掛からない子だったのですが、これが母親の心配の種だったようで、よく本を取り上げられて、「外でみんなと遊んで来なさい」と追い出されていました。
しかたがないので、いったん外へ出てからこっそり家に戻って本を持出し、物陰で読みふけっていたものです。
また、本を読み始めると、母親が呼ぼうがお客さんが来ようが気が付かず、よく叱られたものです。そんなこんなで、母親は筆者の読書好き対して理解を示してくれず、叱られないように親の目を盗んで本を読んでいた状態でした。
小学校の図書室はオアシス
小学校に入学して、何が一番うれしかったかというと、図書室の本をいくらでも貸してもらえるということ。代書板が手元に戻るヒマがないペースで、手当たり次第読みまくっていました。
新しい本が入るとすぐに借りて、真新しい貸出カードに自分の名前を書くことも楽しみのひとつ。司書の先生はとてもフレンドリーで、「若杉さんは本当に本が好きね」と笑顔で声を掛けてくれるのでした。
学校は嫌いでしたが、不登校にならなかった理由のひとつは、この図書室の存在だったと思います。
本好きだと国語で苦労しない
本好きだと頭が良くなる?
子供を本好きにしたいと望まれる親御さんたちからよく聞かれる声に、「本好きだと頭がよくなる」というものがあります。
がっかりさせるようで申し訳ありませんが、「それは人によりけり」というのが本当のところです。
頭の良さをどう測定するのかも微妙ですが、分かりやすい指標としては学校の成績でしょう。しかし、学年で1番本を読んでいた筆者の成れの果てを見れば、一目瞭然です。
国語だけは得意!
しかし、国語の成績だけは抜群でした。
これは、学年が進むにつれて顕著となり、テスト対策などしないのに、常時国語で点数を稼いでいました(古文・漢文は人並み)。同じく本好きの友達も、国語は得意だったと言っています。
頭の具合は保証できませんが、対策が難しいといわれている国語で苦労せずにすむため、この余剰エネルギーを他の教科への補強に充てれば、成績アップは可能といえるでしょう。
しかし、本好きはこのエネルギーを使って、また本を読むのです。
読むのが断然速い!
また、本好きな人は活字を読むのが速く、問題や資料を読んで課題をこなすといった種類の作業では、時間的に有利となります。
考える時間や作業の時間をたっぷりとれるため、内容がよくてミスの少ないアウトプットが可能。
また、ひと通りすませるための時間も短くなるので、浮いた時間に好きなことができるというメリットも見逃せません。
当然本好きは、また本を読むのですが…。
子供を本好きにしたいなら
親が本好きだと子供は?
筆者には子供がふたりいますが、特に本好きということはありません。むしろ、筆者の本好きさ加減に呆れていたようです。
しかし、筆者が読んで良かった本をすすめたり、家にある本から自分の関心領域にあるものを見つけたりすれば、読書を楽しんでいたようです(そのうちの何冊かは、持ち去られています)。
読み聞かせがいいって本当?
一般的には、幼少時に読み聞かせをすることで、本好きの子供に育つとも言われています。
筆者は読み聞かせが退屈だったので、一緒に本を読みながらどんどん脱線した話にしていました。
子供が本好きにならなかったのは、そのせいかもしれませんが、筆者自身、母親に読み聞かせなどしてもらった覚えがありません。読み聞かせは、親子共々楽しければしたらいい程度のものと思っています。
家に本がたくさんあればOK?
古今東西の読書人が語るところによれば、「家に本がふんだんにあった」という共通項があるようです。
しかし、筆者の幼少時、家に本はほとんどありませんでした。両親が本を読む姿を見たこともなく、環境的要因は、本好きに必須のものとは言えないようです。
結局本好きだとどうなるの?
世間で言われているほどの効力は読書にないというのが、筆者の実体験から導き出された結論です。本を読む時間があれば、もう少し生産的なこともしておくべきだったかも…と思ったりもします。
しかし、「活字を読むことが苦にならない」という点だけは、身に付けておいて損はないと思います。また、知的好奇心を満たしてくれるという点も見逃せません。
もし、お子さんの「なぜなぜ攻撃」に辟易しているのなら、本を使わない手はありません。
「ほんとに不思議ね、調べてみようか」と本(絵本や図鑑)に親しむように導けば、お子さんは「親に聞くより本の方がよくわかる」ということで、平和裡に「なぜなぜ攻撃」をかわすことができるのです。
好きなことは出会いもの?
どんなに叱られようと、邪魔されようと、好きなことはやめられないものです。それはおそらく持って生まれたものなのでしょう。
しかし、筆者がいくら本好きに生まれついたといっても、一生本にふれることのない環境下で生きていたら、本好きになることはありえません。
また、若い頃は、本など読んだことがなかったという人が、何かのきっかけで手にした一冊によって本好きに激変したり、必要に迫られて仕方なく本を読むうちに、いつしか本好きになっていったりということは、よく聞かれる話です。
どうやら、本好きになるかどうかは「出会いモノ」ということのようです。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【出会い】です。
ちょうど若竹煮がおいしい時期です。時を合わせて出会うモノとのコラボで、得も言われぬ味わいが醸し出されますね。人生も同じなのかもしれません。
※今日はボタモチ1個追加!
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