「山の日」が祝日となってから、人々の登山への関心が高まっているようで、初心者向けの登山講習会などは大賑わいとなっています。それにともなって山岳遭難の捜索救助活動件数も増えており、山の安全対策への取り組みが急がれます。
今回は初心者向けに、登山の安全に欠かせないアイテムやスマホの使い方についてご紹介しましょう。
登山の初心者向けアイテムとは
登山の講習会へ参加すると、大きなリュックやゴツい靴などさまざまなアイテムをそろえるようすすめられます。しかし、道具は使いこなせてこそ役に立つものです。
そこで登山初心者に向けて、テクニック不要で手軽に利用できるアイテムをご紹介しましょう。
荷物軽量化のすすめ
登山に必要な装備はたくさんありますが、念のためにあれもこれもと詰め込むと相当重い荷物になります。登山初心者にとって、重い荷物で体力を消耗することはとても危険です。
荷物は必要不可欠なものを厳選して、できる限り軽くすることをおすすめします。例えばザイルは結構重いものですが、使いこなすには熟練が必要な代物です。そもそもザイルが必要や山は初心者向きではありません。
つまり、軽量の荷物で登れる程度の山を選ぶことが、初心者にとって遭難や事故防止の第一歩ということです。
靴選びは慎重に
さすがにサンダルで山に登る人はいないと思いますが、スニーカーやウォーキングシューズを履いている人はときどきおられるようです。
山の道は砂や石でデコボコしています。滑りやすかったり足場が悪かったりする山道を歩くのに、スニーカーやウォーキングシューズだと心許ないものです。
ハイカットの厚底タイプの靴を選ぶと、怪我や事故のリスクを小さくすることができます。
せっかくハイクラスの登山靴を履いていても、靴紐の結び方がまずいと効果半減です。きゅうくつなようでも、靴紐はきちんと上まで結ぶことをお忘れなく。
▼ほどけにくい靴紐の結び方
バッグは背負えるものを
たとえ荷物が少なくても、バッグはショルダーではなく背負えるものを用意したいものです。リュックタイプでも重心が低いと実際より重く感じられるうえ、歩くたびに大きく揺れて疲れてしまいます。
リュックは背負い方が肝心で、背負いベルトを短めにして背中にフィットさせると、疲れ方が全く違ってくるのです。
雨具は必須
山では天気が急変するので、雨具は必須です。けれども、この雨具は登山を続けるためのものではありません。天候不良を察知して下山する途中、雨に降られることを想定したものと理解してください。
雨具は風除け・防寒とマルチに活用できます。元は充分取れるので、品質優先で選ぶことをおすすめします。
▼その他、気軽に始める山装備
スマホは山のおすすめアイテム
山でスマホはとても役に立ちます。
電波が入るかどうかということと、バッテリーが切れたらアウトということが問題ですが、この点さえクリアできればスマホは本当に重宝するアイテムです。
山の通信手段はケータイ・スマホ
遭難や事故が起きて助けを求めるとき、かつては無線が使われていましたが、近年ではケータイやスマホを使用することが多くなっています。
平成29年に発生した遭難での通信手段は、ケータイ・スマホが77.5%を占めているのです。
スマホがあれば雨雲の接近状態をリアルタイムで見ることができ、天候の急変を未然に察知できます。コンパスや地図、懐中電灯にもなるスマホは、おすすめの山アイテムといえるでしょう。
なお使用しない時には「機内モード」にしておくと、節電になります。予備のバッテリーもお忘れなく。
ケータイ・スマホがつながるのはどこ?
ケータイやスマホが山で使い物にならないという話をよく聞きます。電波は直進する性質があり、ケータイやスマホの電波のような波長の長いものは、障害物の陰には届かないからです。
電波が入りやすいところは、携帯基地局の鉄塔が見渡せる場所。まっすぐ見えるところから飛んでくる電波なら、キャッチしやすいためです。
とはいえ、開けた場所のすぐ向こうは崖ということもあるので、足元にはくれぐれもご注意ください。
山での安全確保のためにおすすめしたいのは、ドコモが公開している「携帯電話がご利用いただける登山道」で、ドコモの電波を拾える登山道やスポットを検索できます。
検索後に表示された山名をクリックすると、ケータイが利用できる登山道とスポットがマークされた地図が表示されるので、登る山やルートを選ぶときの参考にしてください。
初心者はケータイのつながらない山に登らないことも、安全対策のひとつでしょう。
登山アプリもおすすめ
スマホに登山アプリを入れておくととても役立ちます。
筆者が使っているのは『ジオグラフィカ』で、地図データのダウンロード(キャッシュ)や現在地の表示のほか、トラックログ(GPSログ)の記録もできます。
Google PlayやApp Storeで入手できるので、ぜひスマホに入れておいてください。
地図のダウンロード
出発前に登る山を検索して、地図を拡大・縮小させて広域図と詳細図の両方をキャッシュしておけば、圏外や機内モードでも見ることができます。
現在地の確認
現在地の確認方法は、スマホのGPS機能をオンにしておいてから、ジオグラフィカ画面の右にあるツールボタンの上から3番目にある「現在地ボタン」を押せばOKです。
現在地ボタンを1回押すとボタンが緑色になり、現在地が画面中央に固定されます。固定したくないときには、もう一度押してボタンを黄色に戻しましょう。
トラックログの記録
「トラックログ(GPSログ)の記録」を使えば、歩行経路を記録することができます。ツールボタンの下から2番目にある「トラックログ開始ボタン」を押してトラック名を入力後◎ボタンを押すと記録開始。
終了するときは、緑色のトラック開始ボタンを押して集計画面を出し、左下の停止ボタンを押します。停止し忘れるとずっとGPSが作動しままになり、バッテリーの無駄になるので注意が必要です。
夏山登山の遭難回避は山とアイテム選びから
山は安全第一で
初心者が怪我や遭難を回避するためには、登る山を厳選すべきです。荷物の量とケータイの電波状況は、山選びのバロメーターになります。そのうえで決して無理をしないことを念頭に、疲れる前に下山を開始することです。
山は登るより降りるほうが難しいといわれるのは、この辺りの判断も含めているのだと思います。
「山と親しみ恩恵に感謝」という山の日の主旨を尊重しながら、アイテムを上手に利用して山を楽しんでいただければと思います。
今日のボタモチ
今日のボタモチは【規制】です。
規制は自由を阻害するもののように思えますが、無法地帯が必ずしも自由だとはいえません。規制を設けておけば余計なことに煩わされず、結構自由気ままにやれたりするものなのです。
※今日はボタモチ、1個追加!
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