セーヴル磁器に憧れているけれど高くて手が出せない…という声をよく聞きますが、確かにゼロが2つばかり多いようです。そんな高嶺の花・セーヴル磁器をガッツリ見ることができる特別展「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」が、大阪市立東洋陶器美術館で開催中。
なんと、ほとんどの作品が撮影OKという太っ腹な企画なのです。あなたもヨーロッパの王侯貴族を魅了したセーヴルを鑑賞しながら、永遠のパリを感じてみませんか?
セーヴルを堪能できる特別展が開催中
セーヴル陶磁都市所蔵の名品が130点以上も!
大阪市立東洋陶器美術館で開催中の特別展「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」では、セーヴル陶磁都市所蔵の名品が130点以上も展示されています。
多くの美術館や博物館で展示品の撮影はご法度ですが、今回の展示品のほとんどが撮影OKとなっているのです。贅を凝らしたセーヴル磁器の数々をじっくりと鑑賞しながら気に入った作品をカメラに収めることもできる、お得感いっぱいの企画といえるでしょう。
セーヴル陶磁都市って?
セーヴル陶磁都市とは、2010年に国立セーヴル磁器製作所と国立セーヴル陶磁美術館が統合されてできた行政的公施設法人です。無知とは恐ろしいもので、筆者はセーヴル陶磁都市を核兵器廃絶都市のような自治体だと思っていましたが、実は自治体ではなかったのです(汗)。
前身の国立セーヴル磁器製作所はルイ15世の治世下、ポンパドゥール夫人の肝煎りで創設された軟質磁器の工房からスタートしたのち、王室の庇護を受け王立の磁器製作所となりました。
その後、現在まで300年近くにわたり、ヨーロッパの磁器製造界における権威的な存在であり続けています。また、伝統を受け継ぎながらも現代美術創作の支援として、芸術家の招待や工房の提供などの公益事業を行う活動を続けているのです。
製作所と美術館がコラボすると
国立セーヴル陶磁美術館は、5万5千点以上に及ぶコレクションを持つ陶芸専門の美術館で、「火の芸術」の歴史を網羅する膨大なコレクションは、世界一を誇るものです。
製作所と美術館が統合することで、製品の生産・保存・管理から技術者の養成、研究・コレクションの充実がいっそう進みました。
魅惑のセーヴル磁器
そもそもセーヴル磁器の歴史は、東洋の磁器への憧れから始まりました。中国や日本から持ち込まれた磁器の白く美しい肌に魅せられた各国の王室は、自国でも磁器を生産するために競って試行錯誤を繰り返したのです。
フランスでは18世紀に磁器の製造に成功しました。その後豪華な絵付けがされるようになったセーヴル磁器は、フランス王室での「外交上の贈り物」として用いられるようになり、ロシア皇帝エカテリーナ2世をはじめとする王侯貴族たちの垂涎の的となったのです。
ここからは、特別展で展示されている超セレブなセーヴル磁器のいくつかをご紹介しましょう。カッコ内は年代です。
ルイ16世とマリーアントワネットの胸像(1777年)
煮込み肉用の容器と受け皿(1770~71年)
ソース入れ「デュプレシ」(1750年頃)
手燭(1754年)
朝食(1775年)
壺「コテ・デュ・ロワ」(1776年)
ポプリ壺「ポンパドゥール」(1753年)
デザート皿「メディチのヴィーナス」(1813年)
デザート皿「貝」(1835年)
壺「テリクレアン」(1842年)
中国風の面取りされたティーポット(1827年)
シメールのティーセット(1892~93年)
水差し「ブロワ」(1887年)
ラパンのブランケット(1925年)
いかがでしょう。美しいセーブル磁器を眺めるうち、マリーアントワネットかオスカルになったような気がしてきませんか?
といいつつも食いしん坊に筆者にとっては、これらの食器にどのようなご馳走が盛られていたのかも気になりるのですが…。
大阪市立東洋陶器美術館の詳細
特別展「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」の会期は、4/7(土)~7/16(月・祝)です。
- 所在地:〒530-0005大阪市北区中之島1-1-26
- 電話:06-6223-0055
- 最寄駅:各駅から約400m
- 京阪中之島線「なにわ橋駅」1号出口すぐ
- 地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」1号出口/地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」26号出口
- 開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
- 観覧料:一般1,200円/高大生700円
なお、中学生以下や障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)および大阪市内在住の65歳以上の方(証明書の提示が必要)は無料になります。
大阪市立東洋陶器美術館は大阪市中央公会堂の東側で、一般向け専用駐車場はありません。車椅子用の駐車場はありますが、日曜日・祝日の午前10時~午後4時、中之島公園内は「車輛進入禁止」となるのでご注意ください。
「セーヴル、創造の300年」は見応え充分
なんと日本人作家の作品も
今回の展示は、セーヴルの歴史を「18世紀」「19世紀」「20世紀」「現代」の時代ごとに分けて紹介しています。
20世紀のコーナーでは、1904年(明治37年)にセーヴルが協力芸術家として史上初めて受け入れた外国人である日本の彫刻家、沼田一雅(ぬまたいちが)の作品も紹介されていました。ちなみにこの年には日露戦争が始まっています。
幕末から維新のころには、欧米列強から日本は辺境の未開国と見なされていたけれど、美には国境や人種の違いを超えて黙らせる力があるのですね。
象とねずみ(1906年)
お菊さん(1904年・1920年版)
今日のボタモチ
今日のボタモチは【憧憬】です。
ものごとを成し遂げる原動力としていろいろなものがありますが、憧れはその中でもかなり強力なパワーを持つものだと思います。
※今日はボタモチ、1個追加!
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