所得税非課税でも住民税は課税される?後から取り戻す方法はある?

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住民税納付書

パートで働いている知人は、先日職場で配られた今年度の「住民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」をみてびっくり。年収100万円以下なのに、住民税が5,800円掛かっていたからです。パートは100万円以下なら所得税も住民税も掛からないと思っていたのですが、それは甘い考えでした。

今回は、所得税が非課税なのになぜ住民税か課税されるのか、後から取り戻す方法はあるのかについてです。

所得税非課税でなぜ住民税が課税されるの?

所得税と住民税では非課税になる所得額が違う

まずは、所得税と住民税についてついておさらいしておきましょう(「所得割」と「均等割」については、後ほど説明します)。

 

所得税

住民税

内容

その年(1月1日~12月31日)の個人所得に対して課税される

前年の1月1日~12月31日の個人所得に対して課税される「所得割」と、一律負担の「均等割」の合計

税率

所得が高くなるほど税率も高くなる(税率:5%~45%)

所得割:10%
均等割:基本5,000円(自治体によって異なる)

所得税と住民税では、非課税になる所得額が違っています。その理由は、それぞれの「基礎控除額」に以下のような違いがあるためです。

  • 所得税の場合
    65万円+基礎控除38万円の合計103万円以下の年収なら非課税
  • 住民税の場合
    所得控除65万円+基礎控除33万円の合計98万円以下の年収なら非課税

給与年収が162.5万円までの場合、所得控除は65万円となり、基礎控除の33万円と合わせて給与から差し引いた額に対して課税されます。

ここで、住民税の基礎控除は35万円なのでは?と思われたかもしれませんが、所得控除後の年収が35万円以下なら住民税の所得割が非課税になるという限度額で、税額の計算で用いられる基礎控除額は33万円です。

住民税の所得割と均等割とは

住民税では、所得割と均等割の2種類が課税されます。住民税の所得割では、所得控除の65万円を差し引いた収入額が35万円を超えなければ課税されません。

一方均等割の控除額は28万円~35万円と幅があるため、年収が100万円以下であれば所得割は課税されないけれど、均等割は課税されてしまうことがあるのです。

住民税は住む場所によって金額が違う!

年収が100万円以下でも均等割が掛かることも

先に説明した均等割における課税対象額の幅は、住んでいる地域によって決まるのです。知人の年収は97万円ちょっとなのに、均等割が掛かっていました。実は住民税の均等割が掛かる年収には、以下のように地域格差があるのです。

  •  1級地⇒所得35万円(年収100万円)以下
  • 2級地⇒所得32万円(年収97万円)以下、もしくは所得31万5,000円(年収96万5,000円)以下
  • 3級地⇒所得28万円(年収93万円)以下

2級地に住んでいる知人の場合、もし1級地に住んでいたら均等割は掛かりません。所得割は全国一律で年収100万円以下なら非課税ですが、均等割については、住んでいる場所によって課税される年収に違いが表れるのです。

均等割の金額にも地域格差が

平成26年度から令和5年度までの均等割は、原則として市町村税が3,500円・道府県税が1,500円です。

この額を標準として、森林環境税の名目で道府県税に300円から1,200円程度上乗せしている自治体が多いようです。ちなみに筆者と知人が住んでいる兵庫県の道府県税は、2,300円となっています。

県内の級地に関しては幅があるのに均等割の額は県内一律ということについて、知人は「納得できない」と憤っていましたがどうしょうもありません。

均等割が非課税になるケースは?

均等割が非課税になるケースは以下のとおりです。

  1.  生活保護を受けている場合
  2. 寡婦・寡夫、障がい者、未成年者で前年度の所得が125万円以下(給与だけの場合なら給与収入204万4,000円未満)の場合
  3. 前年度の所得が各市町村の条例で定める金額以下の場合

3の部分が先に挙げた地域格差にあたります。級地は、生活保護基準の級地区分が元になって決められており、平たくいえば都市部のほうが生活にお金がたくさん掛かるから、課税対象限度額も高くなっているわけです。

とはいえ、均等割を払いたくないから1級地(兵庫県なら神戸市とその周辺、もしくは姫路市・明石市)に引っ越すというわけにもいきませんね。

後から住民税を取り戻す方法はある?

所得割なら生命保険控除で取り戻せる

残念ながら、均等割が掛かる所得については所得控除と関係がないので、後からどうすることもできません。けれども、所得割を支払っている方なら、生命保険控除で取り戻せる可能性が大です。

生命保険料控除とは、年間に支払った生命保険料に応じた額を所得金額から控除することができるというもので、住民税でも控除額は最大7万円までとなっています。

生命保険控除は5年以内であれば後からでも申告できるので、今からでも遅くはないでしょう。

もっと税に関心を持とう

住民税

給与所得者は税に無関心?

給与所得者の場合、税金の支払いは会社が代行してくれます。そのためか、自分が税金をいくら支払っているのかについても無関心という方が多いようです。知人の場合、所得税と住民税を混同して年末調整すらしていないありさまでした。

けれども今回のことで、住民税が消費税と同様に累進課税でないことを知り、かなり驚いていたようです。無関心を決め込んでいると、ロクなことにならないかもしれませんね。

今日のボタモチ

今日のボタモチは【思い込み】です。

自分は大丈夫と思い込んで、しかるべき手を打たないままでいると危険です。「大丈夫」といえる根拠はあるのか、その根拠は本当に有効なのかなど、折を見て点検したいものです。

※今日のボタモチ、1個追加!

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